娘の就寝問題、というのがずっとあった。
娘は小2の秋(一年半ほど前)まで私と布団を並べて寝ていたんだけど、ちょうどその頃『自室が欲しい。ベッドで一人で寝る。』と言い出し、子供部屋を用意した。
小さな和室で布団を並べて寝ると結局夜中に私の場所を占領し、朝になるとまず間違いなく私は端に押しやられていて良質な睡眠をとりたくて困っていた私には大歓迎な話だった。
だけど、一人で寝るのが難しいみたいなのだ。
この一年半、ホントウにあれやこれや試してみた。
話し合いも何度もしたし、妥協案も試してみたつもりだけど、しばらくするとまたうまくいかなくなった。
結局慢性睡眠不足な娘ができあがり、これってもしかして、結末を体験してすんなり自室で寝て欲しいと願う私との壮大な権力争いになっているのかも。と気が付いたのが5日前だった。
その日は地元つくばで自助会があり、私の別件のエピソードを扱って頂いたのだ。
その時、自分の『いつも高すぎる理想をドバっと一気に押し付ける傾向』に大いに気づかされ、おかげでこの就寝問題の権力争いにもようやっと気づくことができたのだった。
そうして帰宅してすぐに、会で扱って頂いた事例についてとともに就寝問題について解決を目指して話し合った。
話し合って、とにかく睡眠時間を確保することで目標の一致を取った。
娘の話を聴き、どうしたらいいか一緒に考えて、一週間のスケジュールを作った。
月曜日と木曜日は私の布団で一緒に寝る。
火・水・金曜日はベッドで寝るけど、寝入るまで私が添い寝する。
土日はひとりで寝る。
この3パターンを作って一週間やってみよう。
そうして来週の火曜日、意見交換の時間を作ってまた今後どうするかを話し合おう。
それで今日は日曜日。
昨日まではうまくいっていた。昨夜はひとりですんなり寝たのだ。
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だけどさっき、娘が枕と湯たんぽを持って私の布団のところに来た。
(私はお風呂上りに少し具合が悪くなって、早い時間から横になっていた)
娘『今日はここで寝るの。』
私『えー・・・だって、一週間はやってみようって決めたじゃん。お母さんだって頼まれたことはやってるんだから、晴香も決めたことやろうよ。』
ちょっと、陰性感情が湧いた。
娘『だってさみしいんだもん。怖い本読んじゃったし、暗くすると思いだしちゃって。』(ぐずぐず・・)
ちょっと、陰性感情が増した。
娘はからだを突っ伏して、感情を使ってじたばたしだした。私の最も嫌いなパターン。。。
そうだ、パターンがきたと思ったら、いつもと違うことをしてみよう。
それで、
私『う~ん、困ったねぇ。。どうしようかねぇ。。』
と一緒に困ってみた。
その間に私もくるくると小さな脳みそを回転させつつ、感情をクールダウンさせる。
・この子は私がどんな対応をすると、良いことを学ぶかな?
・問題を取り除くのではなく解決を一緒に作り出そう。
・ネバーファイト・ネバーギブイン
なんて言葉が駆け巡っていた。
私の願いは、話し合ったことを大切にする、決めたことを守る、そのために出来ることをする。
でもこの場面で私がどうしたら、娘を勇気づけて娘がそれを学べるか、難しかった。
だから、そのまま聴いてみた。
私『今夜はひとりでねるのが寂しいんだね。本読んで怖くなっちゃったんだ。そうかー。。それはよくわかった。そしたら、こないだ話し合って決めたことどうしようか。どこで寝るか決める前に、寂しいとか怖いのも乗り越えられて、話し合ったことも大切にするアイデアって、何かないかなぁ?』
するとグダグダしていた娘がピタッととまって、目をくるくるさせている。
そして、
娘『・・・・・・明日からは頑張るから今夜はなんとか頼み込む。』
と言った。
一瞬笑いそうになって、でも『あ、それいいかも!』とピンときた。
だから『そうか!じゃあ、明日はお母さんと寝る曜日だったでしょ。だから明日の予定と交換こするっていうのはどう?そしたら、ちょっと予定は前後したけど、決めたことも大事にできるし、今夜どうしても寂しいっていうのも解消できるよね?いいねそれ!どう?』
すると娘はパッと表情を明るくして、嬉しそうに布団にゴロゴロゴロ~と寝転んで・・・・
ムクリと起き上がり、枕と湯たんぽをごそごそと取り出しはじめた。
ん?なんだなんだ。。と見ていると、
『明日になったらきっと、なんで昨日一緒に寝る権利を使っちゃったんだろうって後悔すると思うから、今夜はひとりで寝るわ。おやすみ~お母さん。愛してるよ♪お母さんも、お大事にね。早く寝るんだよ。じゃ、よい夢を!』
と、さっさと、ニコニコと、自室に引き上げていった。
いったい何が起きたんだろうか?
こんな結末は全然予測していなかった。
でも娘はとってもいいことを学んでくれたように思う。なんとなくだけど。
できたことは、就寝問題において自分が完全に権力争いから下りることができたこと。
感情を使ったコミュニケーションに乗っからず、感情を使っている相手を裁かないでいられたこと。
一緒に困ってみたこと。
決めたことに固執せずゆるめたなかで、見通しと現在について子ども自身に考えてもらえるようにしたこと。
そうして考えて決めたことを尊重しようと、自然に思えたこと。
日々の子育てに答えはないから、こうしていつも試行錯誤している。
でも試行錯誤するから、答えがないから、子どもと一緒に私も育っていけるのかもなって思う。
きっと、『一人で寝られない』なんていうのは年齢とともに消えていき、ほっといてもいつか一人で寝るようになるんだと思う。
だけどそこで、娘が困ったことについて話し合ったり、助け合ったりすることを学んでもらえるのはとてもいいことだ。
つくばで整えることができた構えが、こうしてほかのエピソードにも大きく影響している。
仲間のおかげで、小手先だけの対応でない対応が、出来たように思う。
つくづく、パセージの子育ては一人では学べないものだと思ったことでした。
みなさま、いつも本当に、ありがとうございます。
【久郷 緑 2017年2月】