2011年2月アーカイブ

今年、最初のあるふぁの会は大人13名と子供2名の参加で、1月 23日に行いました。
 
昨年の11月からのパセージが終了した後でもあり、今年は当面、パセージのフォローを中心にやっていく予定です。そんな中、小さなお子さんを連れて、お二人のお母さんが参加して下さったのは、とても嬉しいことです。
 
そして、今回は、劇団ともしびの方が4名も参加して下さいました。遠く、奈良、大阪からこの浅口のあるふぁの会に参加下さりありがとうございます。会の終わりには、アドラー心理学会に関する寸劇を笑いとともに楽しませて頂き、劇団ともしびの思いも伝わり2名の方が学会に入会して下さいました。
 
会の内容は、高校生の息子さんの行動で困ったことの話題提供を頂きましたので、そのことについて参加者全員でパセージ的な対応はどうしたらいいか考えました。まず、日頃の子どもさんとの状況を伺い、困った出来事についてお話し頂いたことを白板に書き出しました。そして、その時の状況をロールプレーで再現してみて息子さんの感情について考え、それからお母さんにも息子役を演じてもらうと、何故、息子さんが今回のような行動をしたかを少し分かってもらえたようです。それから、息子さんとお母さんのパーソナルストレンクスをみんなで探し、白板に書き出しました。その後、パーソナルストレンクスとパセージのテキストで使えそうな所を探しながら、5件ぐらいの代替案が出ました。その中から、出来そうな代替案を実験して、話題提供者に感想を伺うと、息子さんの不適切だと思われた行動の中の適切な側面が分かって良かったこと。そして、今回の出来事の流れの中で、何カ所も取り返しが出来ることに気がついたとのことです。特に、息子さんの適切な側面は印象的だったようです。
 
以上のことを通して参加者からは、自分の子供も同じような不適切な行動をするが、適切な側面を知ることができてとても参考になったとか、自分の困ったことをみんなの前で話せる勇気とそれが出来る場の雰囲気がとても素敵だと思った等の感想を頂きました。
 
今回は、子育ての現場で実際に困った話題を提供頂いたことにより、参加者みんなでとても具体的に考えることが出来て良かったと思います。やはり、事例について話し合うのがいいです。今回、話題提供をして下さった方に感謝致しますとともに、一緒に考えて下さったみなさんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

【田中 新一 2011年1月23日】

 各地にあるアドラー心理学の自助グループでは、みなさんどんなことをしているのだろう?どのように運営されているのだろう?どんな風にしてできてきたのだろう? そんなことを思って、自助グループにおじゃましてみることにしました。


 1月29日、参加させていただいたのは、名古屋アドラーフェラインの岐阜定例会です。 


 この日は新年第一回目の土曜定例会とあって、お昼ご飯から始まりました。会場近くの和食レストランの、地元産のお米や新鮮な材料を使ったランチは、ボリュームたっぷりでバラエティ豊か、とても美味しかったです。定例会会場の近くにこんなお店があっていいなあ~。いえいえ、今回は、食を求めての訪問ではありません!(本当か?)


 名古屋アドラーフェラインは、発足して約8年になります。岐阜と名古屋は電車で30分弱。通勤通学ができる距離です。それまでは、岐阜ではSMILEを受けた人達が集まってフォロー会をやり、名古屋ではまた別の名前のグループとして活動していたそうですが、2003年5月、名古屋と岐阜のお世話役さんたちが集まって、「一緒にやろう!」と意気投合したのだそうです。
 それ以来フェラインは、名古屋定例会と岐阜定例会を開き、アドラー心理学の講演会やワーク、パセージなど、名古屋周辺のアドラー心理学ムーブメントの中心となって活動してきました。
 2ヶ月に一度『名古屋アドラーフェライン通信』が発行され、定例会のお知らせや活動報告、また日本アドラー心理学会に関するお知らせなどを、メールか郵送でメンバーに配布しています。私も最新の『名古屋アドラーフェライン通信・第47号』をいただきましたが、内容が盛りだくさんでしかも読みやすく、そして「通信」としての体裁が立派にととのっていて、本当にすばらしいと思いました。急ぎのお知らせや定例会の感想などはメーリングリストを使ってシェアしているとのことでした。メンバーさん同士で情報がしっかりと共有できるように工夫しておられるのですね。
 また、岐阜での講演会などを主催するときは、自治体との関係などから「岐阜アドラー心理学研究会」という名称で活動することもあるということです。地域行政と上手におつきあいをして、アドラー心理学を広めていっているのだなと思いました。


 岐阜定例会は、毎月2回、木曜と土曜に一回づつ開かれています。今回は土曜定例会に参加させていただきました。会場となった岐阜市郊外のコミュニティーセンターではいろいろなサークルが活動していて、2つある駐車場が満車の状態になるほどでした。この地域に住む人達の、自主的な活動の活発さに驚きました。


 この日の定例会には9名が参加しました。名古屋から2名、また県内の他の町から車で1時間半かけて来られた方もいました。パセージ終了後でグループ初参加の方が1名、そして、とても久しぶり(9ヶ月ぶり?)に参加されたという方もいらっしゃいました。


 定例会の直前に事務的な話し合いがありました。6月に岐阜で行われる野田先生のオープンカウンセリングの準備会の話し合いと、事務局立ち上げについてでした。積極的に「私はこれをやります」と、みなさんがいろいろな仕事にすすんで立候補されているのがとても印象的でした。


 この日、岐阜定例会では事務局を立ち上げることについて決定したようです。昨年からお世話役さんが「事務局を立ち上げませんか?」と提案され、ゆっくりと準備を進めて来られたとのことをうかがいました。このように、あわてずゆっくりと時期を見ながら活動して、今のような素敵なグループをみんなで作ってこられたのだなあと思いました。


 また、先輩アドレリアンが寄付されたという書籍や講演の録音テープがどっさり出てきて(お世話役さんが持って来られているようです)、自由に閲覧したり貸し出ししたりしていました。


 そしてこの日はお世話役さんが、アドラーの写真が印刷された国際学会のパンフレットを持ってこられました。「ホワイトボードに貼りましょうか?」「マグネットがないです~。」「それじゃ、机の上に横になっていただきましょう。」「わあ、まるで涅槃像ですね~。」 みんなで笑って定例会が始まりました。アドラー先生は、セッション中ずっと見守っていてくださいました。


P1290933.jpg まず近況報告を兼ねた自己紹介で、一人一人が最近のエピソードをお話したあと、今日の話題をみんなで決めました。一人の方が、近況報告でちょっと気になるとおっしゃっていたことを、事例として出してくださることになりました。


 お世話役のKさんは、やさしくてきぱきと会を進めて行きます。この日は、まずエピソードをホワイトボードに書きとめ、エピソードに出てくる人達のパーソナルストレンクスをみんなで探しました。その後で、メンバーからの質問を、まずホワイトボードに書き出し、質問の順番を決めて、「聞き手さん」になった人が、事例提供者のかた(「話し手さん」)に質問していきました。一つの質問をした後、それに関連してもっと聞きたいことがあるときは、続けていくつか質問をしました。質問に答えていく中で、事例提供者の方は、家族に対してこれまでとは違った視点を発見されたようでした。


 メンバーさんは、とても活発に発言され、事例提供者さんも、たくさんの質問にとても真剣に答えておられました。グループは終始和やかであたたかで、笑いに満ちていました。


 最後に、その日の感想をメンバーそれぞれが紙に書いて、シェアしました。これまでの定例会で書かれた感想は、参加者ごとにファイルして保存されており、希望すると読めるようになっています。一人一人の参加者をとても大事にされているんだなあと思いました。私の書いた感想もとっておいていただけてるんだと思うと、恥ずかしいけどとても嬉しいです。これは「私には能力がある」と「人々は仲間だ」の両方を感じさせてくれる方法だと思いました。


 会の最後の方で初参加の方が、「今日のエピソードの、家族から頼まれたことは引き受ける、というのがアドラー心理学のやり方だとしたら、私にはちょっと違和感があります」という感想を明るく発言されました。これを聞いて、「何でも引き受けるのがアドラー心理学のやり方、というわけではないんです。この事例のご家族はこのやり方をしたけれど、解決は、それぞれの人や家族によって違うし、違ってOKなんです。」ということを、お世話役さん始め事例提供者さんも含めた常連メンバーさん達が、真剣に説明されていました。
 初参加の人がこんなに正直に感想を言えるような自由な雰囲気を作り出していることと、アドラー心理学のやり方を正しく伝えようという誠実な姿勢を目の当たりにみせていただきました。名古屋アドラーフェラインは、アドラー先生から順々に受け継いだ灯火で、地域のメンバーをしっかりと明るく暖かく照らしているのだなあと思いました。


 岐阜と大阪の間には、関ヶ原があります。ここは古戦場としても有名ですが、雪が多くて冬は東海道線や新幹線を止める原因となる場所なのです。この日はとても寒くて、雪になるかもと心配していたのですが、幸いなことに雪も降らず、グループの灯火で照らしていただいたおかげで、心もあたたかく帰りの電車に乗りました。


 岐阜定例会でお会いしたみなさま、ご一緒させてくださってありがとうございました。名古屋アドラーフェラインがますます発展しますように、お祈りしております。


【大竹優子 2011年2月5日】