2012年3月アーカイブ

 1月22日、第1回と同じ場所の旧古河鉱業若松ビルで行われた、第2回日本アドラー心理学会九州沖縄地方会「私から私達へ~心ある世界に組み込まれて生きる~」に参加しました。

 受付係という事で、まだ暗い中自宅を出発、佐賀から北九州へは、ちょっとした旅行気分、道中、戸畑~若松の渡し船に乗れるとあってちょっとうきうきと、でも寒いので頑張って行きました。

 今年の地方会は、本当に参加して良かった!! と今も思っています。去年よりは確かに参加人数は減りました。しかしその分、ゆったりとした雰囲気に会場内が包まれたように感じました。また、シンポジスト・司会者と一般参加者とに、一体感が生まれた気がします。それは、ワークや小グループに分かれてのシェアリングをしたからだけでなく、大きなテーマともいえる「アドラー心理学を生きる」事について、一人ひとりが自分を振り返り、この場でしっかり考えていた人が多かったのではないか、と思っています。

 午前中のワークでは、Ymさんのお話を聞きながら、大きな輪になってわらべ歌とジャンケン遊びを楽しみました。また、2人組で指遊びをしあったりもしました。本当に久しくこんな遊びはしなかったので、とても心が弾みました。

 Ymさんのお話は、ご自身とアドラー心理学との出会いから始まり、日本の子育てのスタイルや伝統文化であるわらべ歌について、詳しい説明がありました。また手作りのお人形を赤ちゃんに見立て、実際のあやし方や、「そうめんや」といった手遊びについても教えて下さいました。加えて、「鬼の面で始めても福の面で終わる」「離乳食を一口ずつ口に運ぶように、丁寧に心を込めて赤ちゃんに言葉を入れていく」「3歳までは、大きくなって火がついて明るく回りを照らすように、たいまつ(赤ちゃん~幼児)に松脂を滲みこませる」といった深く納得するような事も、いくつも話して下さいました。

 Ymさんのお話とワークで、仕事柄、「共同注意(母親と子どもが、同時に同じ出来事や対象物に視線を向ける事)の成立が・・・」といった小児医学の教科書的な話に終始しがちな私は、忘れかけていた大切なものを思い出させて貰えた気がします。

 私事ですが、高齢初産となる妊娠中の友達が、今一人います。妊娠のニュースを聞いて、赤ちゃんがこの世に生まれる事に対し、そのおめでたさ・嬉しさよりも、出産・子育てのリスクや大変さが、先に私の頭をよぎっていました。でも、Ymさんのお話で、何よりこの世界に生まれてきてくれるのはおめでたいのだという事、そして不安の感情を使うのではなく、その友達に私ができる事は何かを考え行動する、という原点に立ち返らせて貰え、Ymさんには感謝しています。

 午後からのシンポジウムは、Ygさんのウイットに富んだ司会で進行しました。「アドラー心理学を生きるってどんなこと?」というテーマで、3人のパセージリーダーさんたちがご自身を振り返られ、お話をされました。

 3人とも、聴衆のコメントで「自己開示」という表現もありましたが、こちらに伝えたい事がはっきりしていて、それを表現する為にかなり言葉を選び直して、わかりやすく伝えようと検討を重ねてこられたのが十分窺えました。そして表情に、やり遂げた満足感があふれているようでした。ですからお話は大変わかりやすく、こちらの頭に入りました。「新しい課題が次から次からやってくるのが楽しい」「(日常生活の中で、いつも考える課題として)ぶらさげるものがあるのは、楽しい」といった、課題に対しなかなか飄々とできない私にとって、なるほどなあ・・・と納得するような言葉も沢山出てきました。

 地方会を振り返って今、いつも言い訳が先に立つ私ですが、自分の課題を引き受け、自分の選択に責任を持って、周りの幸せの為に貢献できるよう生きていきたい、とあらためて思います。

 今回は、九州の自助グループのお知らせが掲示されていたり(インパクトのある手書きのポスターもありました)、甲斐理事をはじめ、タスクフォースの皆さんの思い入れが伝わってくる工夫もされていました。本当に、様々開催までに時間と労力を費やされた事と思います。どうも大変お疲れ様でした。そして、大変お世話になりました。どうも有難うございました。

【山内 克美 2012年2月18日】