2012年7月アーカイブ

第15回東日本地方会

7月1日、第15回東日本地方会が新潟で開催されました。

全体を通してのテーマ"「所属する」って何だろう"を、三部構成にして考えました。

第1部、午前中のシンポジウムでは、3人のシンポジストさんが、「家族の中の所属のしかた」をテーマにアドラー心理学の実践報告をされました。

3人ともそれぞれ違ったライフスタイルステージにあり、家族構成も違います。義母との関係、両親との関係、そして職場での生徒達とのつきあい方の変化や、結婚や初めてのお子さんができる事を通しての妻さんとの関係の変化など、実に様々な立場からの発表でした。原稿のおもしろさ、話術、スライドの工夫などで、どの発表も聞き入りました。

私たちが「所属する」一番身近で小さな共同体が、家族です。発表を聞いて、家族という共同体には自分も含めたメンバー全員が、それぞれ本当にユニークな所属の仕方をしているのだと感じました。どの所属の仕方も善いとか悪いのではなく、それぞれがその人の力を尽くした方法で所属しているのだと思いました。そして、みんながどんな所属の仕方をしていると家族全体が幸せに暮らせるか、それを考え実現するヒントになるのがアドラー心理学なのだと思いました。

第二部は、アドラー心理学「ミニ講座」とワークでした。
「ミニ講座」は、2008年に仙台での日本アドラー心理学会総会で発表された「教育講演」を聴き、「私たちにもアドラー心理学を伝える方法を考えることができるかもしれない!」と、勇気づけられた新潟のお世話役さんたちが考え出したものだそうです。主に『パセージ』を終了した人達にさらにアドラー心理学に興味を持ってもらえるようにと工夫されたとのことでした。

今回はシリーズのなかから『エピソードに戻れ』が実演されました。内容は、講演をされた服部千春さんが実際のエピソードを例に、かみ砕くようにエピソードを聞くことの大切さをお話されました。

講演の後、グループに別れて実際にエピソードを聞いてロールプレイにするワークをしました。私の参加したグループでは、エピソードをロールプレイにする段階になって初めて、エピソードを聞いただけの時にはグループのメンバー誰もが思ってもいなかった事実が発覚し、先程聞いた講演の中にあったように、本当に人は自分の思いこみの世界に生きているのだ、とみんなであらためて実感しました。

「ミニ講演」とワークを組み合わせてやることで、聞いた知識を頭にためておくだけでなく、その知識をすぐにその場で体験することができました。この「講演とワーク」は『パセージ』を受けた人がさらにアドラー心理学を学ぶきっかけにもなるし、『パセージ』をさらに実践しやすくするためにもとても効果的な方法だと思いました。

他の「ミニ講座」もぜひ聴きたいと思うとともに、「教育講演」のように、シナリオを誰でも使えるようになるといいなと思いました。

第三部は全体シェアリングでした。所属することや共同体を維持することについて、河内理事の問いかけからみんなで考えました。最後に、「今後東日本地方会をどのようにやっていくか、東日本地方会という共同体を維持するために私にはどんなことができるか考えること」を宿題として、そして、来年と2年後の東日本地方会のアナウンスをして閉会となりました。

「所属する」にはまず共同体がなければなりません。アドラーは共同体感覚について、

Social feelingは、生涯を通じて、変化させられ、色づけられ、限定されるケースもあれば、それぞれがその個人自身の家族のメンバーだけでなく、その人の親族、国、そして最後には人類全体と触れ合うところまで、広げられるケースもある。※(H.L.Ansbacher /アドラーギルド翻訳工房訳:Social Interestという概念,アドレリアン 5(2),1992,p132)

と述べています。

「所属」について考えることは、共同体を維持するために自分には何ができるかを考えることにつながるのかな、と思いました。
全体シェアリングで出た宿題は、東日本地方会だけでなく、日本アドラー心理学会全体にとっても重要な課題だと思います。大切な宿題をいただきました。普段の生活の中で折に触れ考えていこうと思います。

参加されたみなさま、準備に携われれたみなさま、理事さんに、心から感謝いたします。

※(H.L.Ansbacher /アドラーギルド翻訳工房訳:Social Interestという概念,アドレリアン 5(2),1992,p132)

【大竹優子 2012年7月5日】