2014年5月 8日アーカイブ

勇気づけのクリニックをめざして

今年度初回の職員会議。初心に立ち返って、はるこどもクリニックの理念を語る所から始めた。

この4月から看護学校卒業したての新人看護師を受け入れている。新人看護師には基礎研修が必修化されている。技術研修は、現場で着実に業務をこなすことで進めていける。技術だけではなく、理念的な研修も必要とされている。曰く「看護職員としての必要な基本姿勢と態度についての到達目標」。クリニックの理念に加えて、看護に関しての考え方、看護倫理、患者さんのニーズのとらえ方、患者さんに対応するときの態度など学んでもらうことは多い。これらは、何も看護師に限ったことではなく、クリニックのスタッフ全員に身につけてもらいたい内容だ。そこで、今年は時間をとって、月2回全員参加の学習会を計画している。今回はその第1回でもある。

まずは、クリニックの理念の3本柱を語る。開設以来掲げてきた文言を若干変更している。
 ①子どもたちのこころとからだの健康の砦に
 ②診察室で待つだけではなく地域とともに
 ③協力・協働の文化を広める

あらためて、私が考える理想の医療像を語る。はるこどもクリニックを『勇気づけ』のクリニックにしたい。病気を抱えた子どもたちとその保護者がやってくる。病気を治療することはもちろんのこと、病気の療養・看護に向き合うための前向きな力を引き出すことを大切にしたい。

看護は、全人的なアプローチだという。うちのクリニックが目指すのは、まさにこの全人的なアプローチだ。だから、うちのクリニックの理念を語ることが、看護の理念を語ることにもなる。すなわち、治すことと同時に癒すことを大切にしたい。さて、癒しとは何か?それは、アドラー心理学の中に答えがある。いつでも主体者であること、問題の原因を追及するのではなく解決をさがすこと、自己執着からのがれて共同体感覚に目覚めること。

病気を抱えることは、課題を抱えて生きる人生そのものだ。人はいつも順風の中を進めるとは限らない。逆風が吹いたとき、問題が起こったときこそ、その課題を乗り越える力が問われる。それが、共同体とつながっていると言う感覚すなわち『共同体感覚』だ。その方向に向かうように援助するのが『勇気づけ』。だから、うちのクリニックは、『勇気づけ』のクリニックを目指しているのだ。


【高柳 滋治 2014年4月17日】