2017年1月 6日アーカイブ

☆:Tさんは、どうして『学び合い』をやろうと思ったのか理由を、聞きたいんだけど?
T:えっとね、新潟総会で『学び合い』の講演をされていた話の中に「その子を変えるのではなくて、周りを変える・・・」とか「一人口は食えないが二人口は食える、・・・そして、小さい子どもの世話は夫婦の両親に頼る・・」、この二つの言葉がヒットしたからなんだ。

☆:どうして?
T:私がやろうとしている目標(願い)と一致しているから。
私の目標は
 1.三世代同居
 2.子どもを変えない(すでに持っている能力を活かす)
この2つです。

☆:へ~ぇ、そうなんだ。Tさんは、そんな願いがあったんだ。
T:うん。西川先生は『親なら知っておきたい学歴の経済学』の本に「昔のライフスタイルへの回帰」について書いているんだけど。

☆:もうちょっと、詳しく教えて?
T:私は「おじいちゃんと、おばあちゃんと、夫婦と子供が同居して暮らす」を26年間実践しています。これって「昔のライフスタイルへの回帰」だよね。

☆:ふ~ん。 
T:「夫婦と子供が同居して暮らす」人も多いよね。

☆:そうそう、
T:その家族構成を「おじいちゃんと、おばあちゃんと、夫婦と子供が同居して暮らす」にシフトしたいと考えているんだ。そうすれば、現在起きている様々な問題が解決する部分があると思うからね。

☆:へぇ~、そんなこと考えてたん?
T:おばあちゃん子だったから、小さい頃に、大正生まれのおばあちゃんに教わったんだ。

☆:どんなこと?
T:例えば親子4人で暮らすのは若い時はいいけど、年をとったら大変だよって。でも、年寄りと3世代で暮らすと、若い時は苦労するけど、年をとったら良いよって。

☆:でもさ、今どき嫁姑の苦労をしようと思うお嫁さんいないじゃないですか?
T:そうそう、

☆:それに、「昔のライフスタイルへの回帰」したら昔風の問題がいっぱい出てくるんじゃないのかな?
T:そうなんだ、だから、今まであんまり声に出さなかったんだけど。でも、

☆:でも、
T:総会の講演会を聞いて、「私と同じことを考えている人がいた!」と思ったんだ。

☆:それで、
T:「その子を変えない」ということろが、自分の考えと一致したんだよ。

☆:「その子を変えない」って、よくわかんないんだけど、もうちょっと教えて?
T:はい、それはね。子どもはすでに能力があるんだよ。

☆:うん、
T:私は就職する子どもの面接指導をやっているんですが、そのとき気づいたことは、その子の能力と相性の良い仕事(会社)をいっしょに探して、そこへ就職してもらえばいいんだってね。そうすれば、離職も少なくなると考えたんだ。でも、

☆:でも?
T:普通は弱点克服といって、できないことを練習して克服しなさい!っていうじゃないか。でもね、私が出会っている子どもたちは、それをさんざんやらされて、「なぜ、できないんだ!」って言われて勇気をくじかれているんだ。

☆:それで、
T:私たちは「子どもは能力を持っていないから教えないといけない」と、小さい頃から習ってきた。

☆:うん、うん。
T:でもね、子どもってよく観察すると、すでに能力を持ってるんだよ。だから、べつに、いまさら「能力をつけさせる」必要はないんだ。もうあるんだから。

☆:えー、ホントに?
T:えっとね、たとえば、対象を高校生ぐらいとしますね。彼らが不適切な行動をするのは、能力を持っていないからだとします。

☆:うん、
T:その時、その子に挨拶の仕方、TPO、〇〇の仕方を教えれば適切な行動ができると考えて教えます。

☆:そうそう、
T:でね、教えてもほとんど効果がないんだよ。

☆:え! そんな、ばかな?
T:やってみて、実際そうだったんだ。本人がやりたいと思っていないから。だから、

☆:だから?
T:その方法を使うよりも「この子には能力が必ずあるんだ」という信念で探す。そうすると見つかるんだね~これが、

☆:見つかると、どうなるの?
T:それをね、相手に伝えるんだ。「あなたは〇〇の能力がある」ってね。

☆:そうすると、どうなるの?
T:たとえば、その子がある行動をしたとします。ある仕事でもいいです。その時「どうして、できるの?」「なぜ、できるの?」と尋ねると、「別に?」とか、「そんなん当たり前」とか、「普通」とか言ったりして、ニヤッとしたりするんだ。

☆:よくわかんない?
T:「なぜ、できないの?」は、その原因を見つけ、それに除去することで「できる」ようするために使う言葉ですが、「どうして、できるの?」、「なぜ、できるの?」は原因がわからなくても、その人は、すでにできるのだから、別に困らないし、そのままほっといてもいい。

☆:そうなの、
T:子どもたちには、自分には「○○の能力」があるとか、こんな長所がある、と気付いてほしいし、その能力を使って「社会の役に立つ人」になってもらいたいんだ。

☆:そうね、
T:友達に、〇〇の能力があるとか、〇〇の長所があるとか、言われたことがあると思うんだけど、どんなことがあった?と聞いてみるとね。

☆:そうすると?
T:「えっと、そういえば、・・・・」と思い出してくれる。それをネタにお話をするの。

☆:ふ~~ん、でもさ、その子の能力がわかんないときはどうするの?
T:教えて?って聞くんです。

☆:え?だれに?
T:だれって、周りにいる子どもたちに決まってるよ。面接指導はパセージのように丸くなってイスに座り5~7人でやります。私は主として面接官役をやります。他の人は面接官役、受験生役をします。

☆:え??? 面接練習って一対一じゃないの?他の人は廊下で待っているんじゃないんだ?
T:違うよ!みんなが同じ場所にいるんだよ。だから、私がわからないときは、パセージで「皆さんどう思われましたか?」って聞くように、周りの子に「ね~、あの子のよいところ、長所、能力って、どんなことかな?」って聞くとね、『〇〇ちゃんの能力はね』と、教えてくれるよ!

☆:え??? 子どもの方が?
T:はい、わたしよりも、的確にいろいろと知っていましたね。私が知らなくても、周りの子どもは知っている。教師一人の力には限界がある。でも、メンバーさんの能力を使って面接練習をすれば『学び合い』授業になっているってことなんだ。

☆:お!『学び合い』に戻ってきましたね。
T:だから『学び合い』をやろうと思ったんだ。

☆:なるほど、お話ありがとうございました。
T:こちらこそ、頭を整理するのに役立ちました。ありがとうございました。


【Y.T(新潟)2017年1月】