2017年12月20日アーカイブ

『アドレリアン』第31巻第1号

日本アドラー心理学会学会誌『アドレリアン』第31巻第1号が届きました!
全国のアドレリアンの皆さんがどのような研究や実践をされているか、毎号楽しみに読んでいます。

今号で私が一番印象に残ったのは、第1回甲信越地方会の一般演題で発表された方の
「保育園年長児のクラス会議」の実践報告でした。
報告者さんが勤めていらっしゃる保育園では、給食のリクエストメニュー日といって、
年長さんが食べたいメニューを希望できる日があるそうです。
そのリクエストメニューを何にするかという議題で、年長児クラスで、
パセージの家族会議をもとにしたクラス会議をした、というものです。
クラスの子どもたちの様子がていねいに観察されていて、とても可愛らしいです。
年長児の子どもたちが集中して話し合えるように、お互いの意見がわかりやすいように、
様々な工夫をされていて素晴らしいと思いました。

その工夫として次のようなことが書かれていました。
・クラス会議をすることを、当日の朝、事前にお知らせした
・給食のときのようにテーブルの周りに着席して話し合った
・話し合いが長引かないように気をつけた
・一度で決定するのが難しかったので継続審議で次の日にもう一度話し合った
・「カツカレー派」と「いかフライ派」のふたつの選択肢に絞り込み、
 保育室を二分して、希望するメニューの場所に移動してもらった

また、
・他のことをしながら会議をしてはいけない
・クラス全員の会議には全員が参加すること
・相手が納得するように話すこと
をはじめに伝えて、会議のルールを守ってもらっていました。

子どもたちは自由に意見を言えるものだから、色々な意見が出てしまうのですが、
報告者である先生が、ときどき困ったりもしながら、
クラス全員の様子を見ながらも、一人一人の意見を大切に聞いて、
クラスのみんなに意見を求めていく様子が目に浮かびました。
年長の子どもたちの活発さと、大人らしさと、生意気さと、仲間思いなところ、
自分の子どもを通じて私は馴染んでいますが、
彼らと付き合うときに、
子どもたちをうまく乗せていく、こちらの方へもっていくという態度で接してしまいがちなように思います。
ですがこういう風に先生に接してもらえたら、子どもたちはほんとうに幸せだろうと感じました。
大人に一人前扱いしてもらえるということは、子どもたちを何よりも勇気づけると思います。

気になるリクエストメニューの決定については、
「いかフライ派」にただ一人残った子が「みんなが喜ぶと思って」と、カツカレーに同意した、
という感動的な結末が書かれていました。
子どもたちが、自分がどうすればみんなのためになるのかな、と考えて行動を選べたのは、
このクラス会議が成功したからというだけでなく、
このクラスがいつもあたたかく協力的な雰囲気であったからこそに違いないと思いました。


このクラス会議の後、
子どもたちが遊びなど自分たちで話し合って何かを決めていく様子が見られたと書いてありましたが、
それは子どもたちが話し合って決めるのはいいなあと学んでくれたからだと思います。

子どもたちは、きちんと話し合うことができるのです。
私も子どもたちと話し合って色々なことを決めていこうと思います。
テレビのルールも、食事のルールも、あるいは休日の計画も、色々なことを、
一度決めたからといってそのままにせずに、ひとつひとつ点検しながら一緒に家族会議で決めていこうと思います。

私はブログで、地味な(?)子育て実践報告を綴っていますが、
それはパセージを学んだ方々、育児をしている方々に、何かを届けられたらという思いが原動力になっています。
今号の『アドレリアン』を読んで、全国で多くの方々が日々の実践を頑張っておられることを頼もしく感じました。
私も、よく失敗をしながらではありますが、努めたいです。

【M.M.(鳥取) 2017年10月】