2018年6月アーカイブ

「分かる」けど「言えない」

日本アドラー心理学会の先輩方が、
とても素敵な本を出して下さいました。

『ほめない、しからない、勇気づける
 3歳からのアドラー式子育て術「パセージ」』
 
アドラー心理学にもとづく子育ての学習コースって、
どういうことをどんなふうに学ぶの?
 
ということに興味のある方、ぜひご一読下さい。
 
 
この本の中に、「子どもの発達に応じた勇気づけを」という項があります。
 
二語文が話せるようになる、おおよそ3歳までの育児は、
こんなことを心がけるといいですよ~
と、以下のように説明があります。
 
「この時期の乳幼児は、大人がいろいろ話してあげるとちゃんと分かります。
 とても興味をもって聞いています。
 ただ、言葉に出して言えないだけです。
 そして、長い間覚えておくことができません。
 何度でも忘れます。
 覚えておいてほしいことを忘れても、怒らないで、何回でも教えてあげて下さい。
 たくさん話しかけられて育った子どもは賢くなります。
 スキンシップも心がけて」(p28)
 
本業の旅館に、ちょいちょい外国人のお客様がいらっしゃるのですが、
「相手の言っていることは分かる。でも私は英語で話せない」
という状況にときどき陥ります。
きっと、私の英語能力、現地の子の3歳レベルなんだろうなぁ。
 
「相手の言っていることが分かる」能力と、
「自分の思っていることを話す」能力って、
別物で、
 
「相手の言っていることが分かる」能力の方が先に伸びる。
(「聴く」と「話す」は、脳の中でも処理する場所が違うのだとか)
 
 「この子はなにも話せないから、なにも分かってない」ではなくて、

 「まだお話できないだけで、この子は大人の会話は全部分かっている」
って思えたり、
 
「親が言ったことをすぐ忘れる」ことも、
 「この子は阿呆だからすぐ忘れるんだ」とか
「本当は覚えているくせに、やりたくなかったり、私に反抗しているから忘れたフリをしているんだ」ではなくて、
 
「今は、脳の発達段階的に、まだ長い間覚えていられないだけなんだね」
て思えたりすると、
 
お子さんもだけど、お母さんもラクになるのではないかなぁ、と思いました。
 
 
「知る」だけで子育てがラクになる知識ってある、と思います。
田沢湖で、アドラー心理学の自助グループ立ち上げます。

興味のある方、メール下さい。
ena-san☆nifty.com(☆を@へ)


【北村江奈(秋田) 2018年6月】

 

2月26日 Adlerjala 定例会


更新がたいへん遅くなってしまいましたが、2月26日に Adlerjala 定例会を行いました。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!


この日の参加メンバーさんは3名、それから0才〜3才の小さい子どもさんたち3名でした。
自己紹介をして、「アドラー保育」の歌を歌いました。
今回もエピソードをたくさん聞かせていただきました。
小さい子どもさんたちのお話は、とってもかわいらしいです!
事例をお話してくださるお母さんたちも、子どもさんのことをとても思いやっていて、
すてきですね!と、みなさんとにこにここしながら聞きました。
でも、お母さんたちは気になることがあるからエピソードを出してらっしゃいます。
「アドラー保育の歌」と、パセージの「子育ての目標」を参考にして、
お母さんたちの気になることって、いったい何なんでしょうね?と話し合いました。


今回使わせていただいた3つのエピソードは、外出先でのお話でした。
「アドラー保育の歌」2番の
♪ いけないこととすべきこと 理由をちゃんと説明し
 わかってもらって選ばせて その他は自由にまかせよう ♪
を中心に話し合いました。

子どもさんのすることは、3つに分かれます。
・いけないこと
・すべきこと
・その他

例えば、
・お店の商品を勝手に触ること=いけないこと
・お店で静かにすること   =すべきこと   
と考えることができます。
これは世の中のルールなので、ぜひ子どもさんにわかってもらって、守ってもらいたいことですね。
お母さんも子どもさんも落ち着いた状態で、このルールについてお話をすれば、
子どもさんは守ってくれそうだと事例提供者さんは言ってくれました。
この3才の子どもさんは、お母さんのお願いを聞いてくれて、
この日の定例会の間、ごきげんで静かに遊んで過ごしてくれました!ありがとうございました。
私たちは、小さい子どもたちとも協力することができるんだなあと、
あらためて気づかせていただきました。


では、1才の子どもさんが
・あいさつすること
・寒い日に上着を着ること
は、「すべきこと」でしょうか?
・あいさつしてくれた人を知らんぷり(無視)すること
・薄着で出かけること
は、「いけないこと」でしょうか?
もちろん、子どもたちにはあいさつができる人になってほしいですし、気候に合った衣服の調整をしてほしいです。
ですがこれらは、今守るべきルール(いけないこと、すべきこと)とは少し違って、
その他に当てはまることかもしれません。
徐々に身につけてもらいたいこと、学んでいってもらいたいこと、と考えることもできそうです。
子どもたちに学んでもらうために、どんな工夫ができるかということを
パセージでは詳しく学んでいきます。どうぞお楽しみに!



今回は、陰性感情のひとつである「不安」についても話し合いました。
前回は「怒り」について話し合いましたが、
不安は未来のできごとについての陰性感情、怒りは現在のできごとについての陰性感情だ、と
私は野田先生からお聞きしたことがあります。
「こんなことをしていたら、将来この子はこんなたいへんなことになってしまうかもしれない」
って不安に思うこと、私もあります。そしてとても苦しい気持ちになってしまいます。
でも実際は、子どもは私の思うほどたいへんなことになんてならないんですが...。

「アドラー保育の歌」1番を歌いました。
♪ まず感情をおちつけて よい関係を保ちましょう
 いけないところは気にせずに できたところはよろこぼう ♪
不安な気持ちのままでも、よい関係を保つことができません。

パセージテキスト30Lを読み合わせもしました。
陰性感情にまず気づくこと。
それから
1、感情の目的はなにか
2、この感情でもって目的は達成できるか
を考えてみます。

そして、自分の子育てや子どもさんのことが不安になったとき、
まずは子育ての目標を思い出してみませんか?と、おすすめしました。
<子育ての心理面の目標>
 私は能力がある。
 人々は私の仲間だ。
<子育ての行動面の目標>
 自立する。
 社会と調和して暮らせる。

私たちには能力があります。
そして、私たちには仲間がいます。
みんなたくさん失敗しますし、
私もパセージの実践ができないことがたくさんありますし、そのことで落ち込む日もありますが、
でもこうして共に学ぶ仲間がいてくれて、ほんの少しずつでも、前に進んでいます。
私たちも自立して、社会と調和して暮らせるように、毎日成長していっています。
私たちの子どもたちはどうでしょう?
ぼくには能力があるぞ、お母さんはぼくの仲間だぞ、って思ってくれているなあ
って思いませんか?
子どもたちが自立して社会と調和して暮らせるように、たくさんのことを学んでいってほしいです。
その学びを、応援し、援助していけたらと思います。


今回は、みなさんに私のエピソードも聞いていただきました。
たくさん勇気づけてくださって、本当にありがとうございました。
実は2月から3月にかけて、私が長男(小学2年生)の子育てに悩んでいました。
Adlerjala 定例会をなかなか開けなくて申し訳なかったです。
この機会に、パセージをいちから丁寧にやり直してみました。
本当にパセージの理屈通りだと実感しました。
私の行動が変われば、長男の対応も変わりました。
春休みは落ち着いて過ごすことができ、新学期を迎えて、今はようやく落ち着いた関係を保てています。
これからもパセージの実践をがんばっていきます。


【松村美穂(鳥取) 2018年4月】