2019年5月アーカイブ

枠組みの変化

娘は6年生になり、このところまた一段と大人びてきたように感じます。

娘が学校などで起こった嫌なことを話すとき、言葉遣いが乱暴だったり毒舌であると感じることがしばしばあり、
私はそのたびに、
それは言い過ぎじゃない?
ちょっと!言葉!!
と小さな陰性感情が湧いておりました。
 
そこでうーんと考え、
娘のよい意図を出してみました。
 
・外で同じように話しているわけではなさそう
・私を信頼して、安心してくれている
・その都度その都度娘には娘の事情があり、言い分がある(のにその場では上手にいなしている)
 
うんうん、そうだよね。十分考えているし、家では言いたいこと言いたいんだよね。
 
そこでふと、
そうか。
じゃあせっかくだから娘の話を聴いて、これからどんなことができるか相談に乗ろう!
とひらめいたわたし。
 
ある日、娘が不満を話してくれた時をチャンス!と思って、切り出してみました。
 
私『そうなんだ。そのとき、娘はどんなこと考えてたの?』
娘『え?』
私『いや、、最近その話題多いし、何か解決できること探せないかなーっておもって。』
娘『かいけつ・・?』
私『だって、そんなことあるの、やなんでしょ?』
娘『うん、まぁ・・。』
私『娘は、相手にどうしてほしかったんだろうね?』
娘『相手に?えー、そんなのない!相手がやめればいいだけ!わたしが考えるなんておかしい!』
私『・・・。』
娘『もう大丈夫。この話はもういいかな。』
私『はぁい。。』

話を聴こうと思っただけなのに、娘はイライラした様子で席を立ってしまいました・・・。
 
そうして残されたわたしは一人反省会を開くことにしました。
 
なにがまずかったんだろう?
もっと娘の話をしっかり聴いてから相談に入ればよかった?
もっと娘のよい意図を伝えてからの方がよかった?
自分の陰性感情はしっかりなくなっていると思ったけど、残ってた?
 
つらつらと考えていて、
はっ
と気づいたこと。
 
娘はどういう目的でわたしに話してたのかな?
 このことで困ってるから、どうしたらいいか相談に乗って、と頼まれたかな?
 
頼まれてないのに、わたしが毒舌が嫌でそれを私の望むやり方で話してもらうように、要は娘を変えようとしていたんだ。
それって、起点がそもそも支配的だよね。
 
陰性感情もないし、からだもゆるんでいたのに、わたしはリラックスして娘を支配しようとしていたんだ。。
 
ひぇーーー、恐ろしい~!ガーン!
 
でもまてよ?
 
娘がもっと小さい時は、
公園で嫌なことをお友だちにされた、と泣いて私のところに来た時、、
 
わたしは同じように、
「どうしたかったの?」
て聴いたよね。
 
娘は一生懸命考えて、
「あれはわたしのおもちゃだ」とか何とか言ったりして、
じゃあどうしようか、話し合ったよね。
 
なにがちがう?
 
あ、、、
 
「相談的枠組み」
 
これだ、きっと。。
 
公園で泣いた小さな娘は、
お友だちにされた嫌なことについてお母さんを頼っている。
これからどうしようかを話し合うか、
可哀想ねぇと抱きしめるか、
かわりにお母さんが怒鳴りつけてやるわと乗り込むか、
それはお母さんが決めることだけど、
ともあれ子どもはお母さんどうしよう、と頼っている。
 
でも今の娘は、
学校など外であった嫌なことについて私を頼ってない。
これからどうしようか話し合ってとも、
可哀想ねって抱きしめて欲しいとも、
かわりにお母さんが怒鳴りつけてきてとも、
多分どれも望んでいない。
 
じゃあ何を望んでいるか。
 
家でくらい好き放題言わせてくれ。
 
とかかな。
 
そうかー、
娘は成長して大きくなって、
困ったことについて無条件で(まぁほんとは無条件じゃないけど)わたしが何か助言できる相談的枠組みはなくなっているんだ。
 
ふむふむ。
 
なるほどね・・・。
 
だんだん整理がついてきました。

娘の話を聴こうと思って失敗し、
一人反省会を開いて、

まずこの話について娘の目的はなんだったんだろう?
そもそも私の目的が、娘の毒舌を封印するために話を聴こうとしていた。
娘は小さい頃と違って、どんな話でも親に助言を求めるわけではなくなっている。
相談的枠組みが変化してきてるんだ。。

ということに気がついた私は、ある日、お互いがのんびりしているときに、娘に聴いてみました。
 
私『あのさ、こないだわたし、あなたの話ちゃんと聴けなかったでしょ。そのことでお話聴きたいんだけど。』
娘『話を聴けなかった話を聴く!(笑)』
私『(笑)ややこしいね(笑)でね、わたしは娘の話を聴くのが好きだしたくさんいろんな話をして欲しいなって思うの。
 だから娘にとって話したいことを話せる親になりたいんだけど、どんなふうに聴いて欲しいと思う?』
娘『いいよ~母上はそのままで~(笑)』
私『ありがとう(笑)じゃあさ、例えばこないだみたいにネガティブな話のときとか。嫌なことがあったときのこととかは?』
娘『そうねぇ・・・ただふんふん聴いて欲しい』
私『そうかー。そうだよね。わかりました。じゃあ内容には口を挟まないで聴くね。
 それで相談なんだけどね、、もしさ、もしも、その言葉はちょっとなーってわたしが感じたときに、その言葉を別の言葉に言い換えるとどんな言葉がある?って聴かれるのって、どうかな。』
娘『いいよいいよー。ありがとね、そこまで考えてくれて。
 じゃあ私も、ただ聴いて欲しい時は"この話はただふんふん聴いてね"って最初に言うことにするね。』
私『ありがとう。わかりやすくて助かる!
 じゃあ、聴いていてもし気になる言葉があったら、ちょっと口をはさむ感じになるけど・・。
 何か不都合があったらまた教えてくれる?』
娘『わかったー(^^)』
私『話し合ってくれてありがとう!』
 
 
こういうときに、親子関係のベースをいつもしっかりよく耕しておくって本当に大切だなって思います。
 わたしが失敗してうっかり娘をイライラさせてしまったのにも関わらず、
そしてそのイライラさせてしまった話題を持ち掛けたのにも関わらず、
 娘は軽やかに話し合いの席に着いてくれました。
 
実はこの話し合いをしたのが確か今年の二月くらいです。
 
それからとても不思議なのですが、、、
この話し合いを境に娘の口調がとても穏やかになり、オブラートに包んだ表現をするようになったんです。
 
あ、一度だけ娘の言い方にピンっと反応したので『ちょっといい?』と口を挟んだら、
『今は黙って聴いていてくれる?』と断られたことがありました。
でもそのときも、ひとしきり話が終わると娘から『で、さっきのなに?』と聞いてくれました。
やっぱり最中は嫌なんだね(笑)まぁ、そりゃそうだよね(笑)と納得です。
 
覚えているのはその一度くらいで、今は多少強い言い方をすることはあるけどずいぶん言葉を選ぶようになったと思います。
 
嫌だな、やめて欲しいな。
と思っていた時は盛んに言ってたのに、
 
どんな話でもしてくれるって嬉しいな、どうしても気になったときだけ、ちょっと口をはさませてもらおう。
と思ってからは言わなくなる。
 
・・・ん?
 も、もしかして注目関心だった!?(←あいも変わらず今更な気づき・・)
 
何はともあれ、思春期に入った娘は今後ますますさまざまなところで『親は立ち入り禁止!』の看板を立て始めるようになるかもしれません。
 
大人の5年はズルっと過ぎるけど、子どもの5年は大きく変化します。
 
ズルっと以前と同じような対応をするんではなく、
目の前の娘を見て、丁寧な育児をしていくことを改めて心に留めた出来事でした。
 

【久郷 緑(茨城) 2019年4月】