講演会の最近のブログ記事

家族をとりもどす

今年も、アドラー心理学の第1人者、野田俊作先生の講演会を行うことができた。テーマは、「家族をとりもどす」。

テーマは、とても身近であったが、内容は大変高度で、大所高所からのお話になった。現代は、「家族を取り戻すことが難しい時代になっている」、そのことを国際情勢から説き起こし、さまざまな例を挙げて論証していく。

野田先生のブログから引用すると、

「わかりやすくて、すぐ役に立つ」という聴衆の期待を完全に裏切って、《ニヒリズム=グローバリズム=金融資本主義&共産主義》複合体が必然的に家族を解体していっていること、家族をとりもどそうとするなら、近代文明そのものを克服する必要があることについて、かなり政治的な話をした。 

とのこと。

確かにその通りで、心理学だけに収まらない、社会学、政治学、そして哲学(人の生き方)にまでおよぶ大きな内容であった。

そして、最後の方で、こうやって大きく広く物事を考えながら、実際に日々行うことは、アドラー心理学の地道な実践であることを説いてくださった。

再び、ブログから、

それでも、実際にやることは、デモ行進ではなくて、たとえば夫婦仲良く、親子仲よく暮らしながら、「家族会議」をしっかりやることなどなのだが。

ということなのだ。

家族をとりもどすために、知らなければならないこと、考えなければならないことを広い視野で教えて頂いた。こういう大変な情勢だからこそ、あらためてアドラーの実践をしっかりとしていかなければならないのだと身の引き締まる思いがした。

アンケートを見ると、普段このような話を聞くことがないのでいい機会であったとおおむね好評であった。野田先生はよると、ある程度のお歳になったので、地方でこのような講演会をするのは、今年限りにされると言うお話しであった。最後に、このような大きなお話を聞くことができたのは、大変光栄なことであった。

今回の講演会は、クリニック主催の行事とした。クリニックスタッフが、それぞれに役割分担し、話し合い、準備し、協力し合って会を成功させることができた。これも、「家族をとりもどす」ための小さな一歩なのだろうと思う。


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「上藤城物語  はる(はるこどもクリニック院長)の物語」より
【高柳 滋治 2015年8月1日】

二月 教育講演

『反抗する子を勇気づける』≪アドレリアン61≫の教育講演を行ってきました。(参加者22名)


アドレリアンで拝見した時から、いつか披露したいと思っていました。が、なかなか機会が作れずいました。


願い続けると叶うものなのか、降ってわいたように話が転がってきました。

市内の今年度「ことばの教室 親の会」の役員さんが昨年度アドラー心理学に出会われていて、親の会の勉強会で話をして欲しいと連絡をくださいました。即答で引き受け、役員さん二人(パセージ受講中)に親役と子役の協力をお願いしました。

字面だけ読むと30分ぐらいで終わるので、始めに二人ペアを組んでいただき自己紹介していただいたり、パセージ9-Lを絡ませたり、と参加された方が自分の思いや子どもの思いに気付いて頂けたらと、参加型にしてみました。

以下、参加者の感想を披露させていただきます。


*普段、生活していたら忘れがちな子どもとの関わり方をあらためて思い直せてよかったです。

*とても参考になりました。また色々とお聞きしたいです。アドラー心理学にも興味が出ました。

*昨夜の子どもとのかかわりの中で、今日のお話を聴かせていただいて早速反省、思い当るところがありました。気迫を込めた言い方で、いつも上から子どもを押さえつけている自分に気づかせていただきました。ありがとうございました。今後の参考にさせていただきたいと思います。

*忙しいことを理由に子どもの話を聞けていなかったと思うので、これを機に家事をしていても一度、手を止め、子どもの目を見て話をしたいと思いました。

*参考になりました。まず、子どもの話は顔を見て、顔を見れば自然とうなづく、話をさえぎらないように聞こうと思いました。

*子どもに対しての接し方を改めて反省しないといけないと思いました。一人の人として尊敬することが大切だなと思いました。貴重な講演を聞くことができて良かったです。ありがとうございました。

*今日は来て良かったです。家に帰って子どもの話を聞いてあげたくなりました。ありがとうございました。

*子どもは宝、健康で元気でいてくれたらと生まれてくる前の気持ちを思い出して、大切にしていきたいです。

*子どもの接し方を振り返る機会になりました。思い当ることも多く反省です。又、参加させていただきたいです。

*日々、子どもと関わる中で、ちゃんと話を聞けていなかったのではと反省しました。今日からケンカしないようにしたいと思います。

*ついつい子どもとケンカしてしまうので、子どもの話を聞くようにしたいと思います。子どもがどんな大人になって欲しいかを考えながら育児をしたいと思います。

*子どもとの接し方、話しかけ方、あらためて「ていねいに」を再確認できました。いろいろと参考にして、毎日ケンカしている息子とまずはケンカをしないところから始めたいと思います。ありがとうございました。

*三つのポイント、話を聴く三つのコツ、なかなか行動にするには、親の力が足りず、自分が 子どもだなと思うばかりです。毎日少しずつ三分、五分でも一人一人の子どもの方を向き、ゆっくり最後まで話を聴いていきたいと思います。

*日々の忙しさに埋もれて、子どもの話を聞けていないような気がします。相手の話が分かりにくいのもありますが覚えていない話も多々あることに気づきました。

*講演会はとても心に響くものがありました。

*自己紹介カードがあり、初対面の方とも話しやすくなり和やかに過ごせました。お話もわかりやすく、参加型なのも新鮮でした。即興で演じるのは難しかったですが、ふだん片手間に話を聞いていたり、話を親の都合で変えたり、日常よくあることなので、子どもとのかかわり方を考えるとても良い体験でした。子どもの気持ちが分かりました。又いろいろ教わりたいです。
(感想 以上)

市外から二人のアドレリアン仲間が 私の初めて仕切る約90分の勉強会に来てくれました。

二人の笑顔がどんなに心強く思えたことか。ありがとうございました。

終わった後に短い時間しか会場に居られなかったのですが、お二人の方がパセージに興味を示してくださいました。

滋賀にはいっこさんという、心強い方がいらっしゃるので、是非紹介していきたいと思います。

応援に来てくださったアドレリアン仲間のお二人も地域のリーダーの方なので、是非、教育講演を展開していただけたらと期待しています。

このような機会を設ける事が出来ました教育講演を考えてくださった皆様に感謝いたしております。

ありがとうございました。


【西尾 英子 2013年3月6日】

おかけいさん講演会&ワーク(品川)

品川で、おかけいさん(岡田敬子さん)の講演会&ワークが開催されました。
ひさしぶりの東京での講演会&ワークでした。

プログラムは、
10:00-12:00 講演会「アドラー心理学の基礎を学ぼう」 
13:00-15:30 ワーク「思いこみの再点検 ~認知論をワークで体験しよう」
15:30-16:00 「おかけいと雅ちゃんのおしゃべりタイム と質問コーナー」
でした。

午前の「アドラー心理学の基礎を学ぼう」は、基礎講座応用編4日分が、2時間にきれいにまとめられていて、いや~すごいな~と感動しました。アドラー心理学の5つの基本前提と、思想と、ライフスタイル論まで!、エピソードを交えながら軽快にお話してくださいました。ほんとに、アドラーの理論って、シンプルで、うつくしいなーと改めて感動しました。

午後からは、認知論にもとづくグループワークでした。書きとった、マイナス感情が動いたエピソードを、「意見」と「事実」に分けていきます。「事実」の部分だけ読むと、あらあら不思議、最初とはぜんぜん印象が違う話です。そしてパーソナルストレンクスをみんなで探します。ある「事実」にたいして、ネガティヴな意味づけも、ポジティヴな意味づけも、わたしたちは選べる、という体験をしました。

最後30分は、おかけいさんとわたしで、おしゃべりタイム。アドラー心理学の実践は簡単ではないけれど、仲間がいたから、失敗しながらも、楽しく学んでこれたねー、という話などしました。

なにからなにまで、お世話をしてくださったKさんの、きめ細やかな心遣いに感謝です。当日は、新しい方々も活躍してくださっていて、頼もしかったです。みんなニコニコ笑顔で、わたしも嬉しかったです。そして、1日パワフルに講演してくださった、おかけいさん、ありがとうございました。


【清野 雅子 2012年4月4日】

子どもの発達と家族の役割

嘱託医をしている通園施設で、定例のミニ講演をした。テーマは「子どもの発達と家族の役割」。


まずは、人はどんな時に幸せか?という話をする。人とつながっている時と自分にできることがあった時ではないか。それは、人間という種の原始からの生き方と関係がある。そして、それらがそのまま子どもが育つときの原動力になる。人とつながっていると感じ、自分にできることがあると思えることが、発達していく上での力になる。それは、障害があってもなくても同じこと。


家族は、一番最初に触れる他者だ。家族とのふれあいから、他者とはどんなものかを知る。人は信頼できると思えるのか?人とは怖いものだと思うのか?また、家族とのやりとりのなかから、他者の中での自分とはどんなものかを知る。自分に何かできることがあるのか?何もできずに依存するだけの存在か?


子どもが、人々は仲間だ、自分には能力があると感じられるような働きかけを「勇気づけ」と言う。「勇気づけあう家族である」ということが、子どもの発達によい影響を与える。


ここまでが総論。ほとんどアドラーだね。


家族の中できょうだいの役割はなんなのか?障害を持つ子がいるために、他のきょうだいに辛い思いをさせているのではと考えてしまう。きょうだいが特別なのだということをどうやって納得してもらえるのかということに悩む。そもそもきょうだいは、自分の立ち位置を決める基準線みたいなものだ。他者とどんな風に違うのか、どんな風に同じなのかをきょうだいを通じて知っていく。障害を持つ子をきょうだいに持つことは、その子の生き方を豊かにすることだ。


父親の役割はなんなのか?多くの母親が、父親と同じ考えで子育てができないことを悩む。夫婦が同じ考えで子育てしなければならないというのは神話に過ぎない。そもそも、男と女は生理的に異なっている。その特性を生かした関わり方をしたほうがいい。夫婦だから同じように考えるものだと思わない。せっかく子どもにとっての他者が別々に二人いるのだから、違う存在であることを受け入れると、豊かさが生まれる。違う関わり方をするふた親から、子どもはさまざまな人との関わり方を学ぶことができるようになる。


質疑応答も含めて、概略こんな風な話をした。話したり、質問に答えているうちに、自分の考え方がまとまっていく。こうやって、あたらしいテーマを与えられてお話しすると、自分にとってもいい勉強になる。


【高柳 滋治(北海道) 2011年10月13日】

 私は先日アドラーギルドで行われた野田先生の講演会「幼い子どものいる暮らし」を聞きに行ってきました。私は周りに小さい子どもがいないため、お世話をしている自助グループのメンバーさんたちの子どもさんの話に今ひとつ共感できないでいるので、勉強ために聞きにいくことにしました。

 その講演会で学んだことを、少し皆さんにシェアさせてもらおうと思います。私が一番関心があったのは、パセージではターゲットにしづらいまだお話が通じない年齢の小さい子どもとどうつきあっていけばいいのか、ということでした。野田先生は、3つのアドバイスをくださいました。
 
 まず、しつけようと思わないこと、2つ目に、その子に「基本的安全感」を感じてもらえるように接するということ。これは、子どもが「この世界に生まれてきて良かったな、このお父さん、お母さんのところに生まれてきてよかったな」と感じてくれることだそうです。
 
 そして、3つ目に、「大人に話しかける時と同じ言葉遣いで、子どもにたくさん話しかけて賢い子どもになってもらおう」ということでした。賢いということは言葉の力を持っているということなので、言葉のインプットの時期に幼児語を使わないで、きちんとした言葉を使おうということでした。これは、いつか私にも孫ができたら(いつになるやらわかりませんが)、ぜひ心に留めておきたいな、と思うことでした。

 次に、しゃべるようになった子どもとどうつきあうかですが、これは、「問いかける育児」をしていこう、ということでした。もちろん、一度は教えてあげなければいけないことがたくさんあると思うのですが、一度教えたら、それからは親が一方的に子どもに教えるのではなく、子どもに考えていってもらうことが大切だ、というお話でした。何かトラブルがあったときには、特に考えてもらうチャンスです。「どうしたかったの?」「どう思う?」「これからどうする?」と開いた質問を使って、子ども自身に答を見つけていってもらうことが大事なんだな、と思いました。
 
 もう一つ、これは質疑応答の時間に出た話題ですが、中学生くらいになった思春期の子どもとはどうつきあっていくか、というお話がでました。野田先生は、「干渉しないで関心を持とう」とおっしゃいました。子どもの関心に関心を持って、相手の話をおもしろがってきこう、それが適切な行動に関心をもつことにつながるという話を聞いて、なるほどなあ、と思いました。

 私の29歳になった息子の適切なところに関心を持つことってどんなことだろうと考えると、もちろん、何かしてもらったら「ありがとう」をいうことを忘れてはいけないと思うのですが、今、看護学校に行っている息子に学校で学んでいることを聞くと、目をキラキラさせてたくさん話をしてくれます。これも彼の適切なところに注目することになるんだなあ、と思い、勇気づけられました。

 野田先生の講演会は、タイトルが何であろうと、必ず学ぶことがあります。次回のアドラーギルドでの講演会は、9月11日で、タイトルは「美しく老いる」です。これも私にとってはとても関心のあるお話です。日程があえば、また聞きに行きたいと思っています。


【酒井 朋子 2011年9月1日】