2011年4月アーカイブ

村上 淑さんからのメール

東日本大震後、早5週間が経過しましたが、まだ余震が続き原発の先行きも不安な状態が続いています。
仙台に住んでいらっしゃる村上 淑さんに応援メールを送ったところ、とても心温まる返信をいただきました。

淑さんがアドラーネットへの転載を快諾してくださったのでメールの一部をみなさんにもご紹介したいと思います。

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私の住んでいる所は、海から15kmの位置にあります。 
我が家から3km東にある名取市閖上は津波で壊滅しました。 
3km東にある東北自動車道東部道路は土を盛って作ってあったために堤防の役目を果たしてくれて、私達は被災を免れました。 
自宅の近くに店があるので、閖上に住んでいるお客様も沢山いらっしゃるのですが、怖くて電話をかけることもできません。

今日、25年来のお客様が息子さんと来てくださいました。
彼女は津波にあい、今も家族で避難所である体育館で暮らしているそうです。
ずっと気になっていたので、もう涙涙で・・・・
彼女は『家族と仕事があるから乗り越えられる』と言っていました。
私のほうが勇気を貰いました。

地震のときは仕事をしていたので、とても冷静でした。
パーマの方が二人いらして、パーマ薬液が付いていたので、
何とか最後まで仕上げなくては!と思い、揺れている間は玄関と裏口の戸を開け、
いつでも避難できるようにしながら周りを観察し、揺れが収まると髪をしていました。
私の担当していた方は17年来の男のお客様で、
「クッシュにはきゃあ~といってしがみついてくるような女の子は一人もいないんだね」
なんて笑いながら仕事をしてました。

慌てても仕方ないので、お客様にリラックスして貰う為にも、私達が冷静に笑っていなくては!と思っていました。
その時は停電にはなりましたが、周りのマンションも無事でしたし、
そんなに大事になるとは思っていませんでした。

その後店の後片付けをしながらワンセグを付けると、リアルタイムで仙台空港に津波が来ている映像を映していました。

震災から5週間が経ち、みんなに疲れが見えてきています。
身も心も疲れているときに私を支えてくれるのは、アドラー心理学の思想もさることながら、パセージやASMI,SWで出会った方々と共有した時の思い出とその時の感覚です。

自分の内側を見つめ、その感覚を思い出し、リセットしてから仕事をしています。
私に出来ることは本当に小さい事ですが、笑顔でお一人お一人丁寧に向かい合ってお話を聴かせて貰っています。

これからが、正念場だと思います。
どんな時もアドレリアンとして考え行動できる様でありたいと思っています。
日々修行です。

魔女修行の仲間として、見守っていてください。

昨日仙台は桜が満開でした。
どんな時も、季節はちゃんと廻ってくるんですね・・・
私の好きな言葉に
「明けない夜はない、止まない雨はない、日はまた昇る」
というのがあります。

今日もガムバリます。

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どんなに大変なときも、アドレリアンとして『今、私が人々のためにできること』をしていらっしゃる淑さんに感動し胸が熱くなりました。

福岡では先週の土曜日と日曜日に野田先生の講演会とオープンカウンセリングがありました。
アドラー心理学の教えの深さにあらためて感動しました。

永続可能な未来のために、アドラー心理学を実践し伝えていくことの大切さをひしひしと感じています。
この震災で学んだことを決して忘れてはいけないと思いました。

東日本の皆さんが心安らかに暮らせる日が一日も早く訪れますように、心からお祈り申し上げます。


【竹内 裕美 2011年4月20日】

自宅待機の副産物2

地震後、数日たって、今年、アドラーギルドの講座が西日本ばかりなのが腑に落ちました。
すごいな~、アドラーの神様ってば。


自宅待機が終了して今週から仕事に行った夫。


夫の愛車もガソリンがないので、今日から自転車で会社まで行きました。
いつもは休憩時間に車の中で一人で過ごすのですが、その車がないので、今日は会社の休憩場所で数人と過ごしたそうです。


そこで、ぷぷぷ(笑)
女性二人と話をしたそうです。ぷぷぷ(笑)


夫が「休憩時間に読むかな」と持っていったアドラー心理学入門を休憩所で読んでいたら、「何を読んでいるんですか?」と話しかけられたそうです。


夫:「いや~、何か読む本ない?って妻に聞いたら、これを貸してくれて...。」


な~んて感じで、独身の女性と、お子さんのいる女性にアドラー心理学の話をしたそうです。


夫:「会社も学校も封建時代と同じように子育てをしたり、人を支配しようとしている。子どもの反抗期というのは、本当はないんだよ。親が支配しようとするから子どもが反抗するのだから。云々...」


な~んてことを、読んだばかりのパセージのテキストを思い出して語ったそうです。


ぷぷぷ。


女性1:「うちの夫にも聞かせたいわ~。」
女性2:「だから、(心理学を勉強している)樋沢(夫)さんって、落ち着いているんですね~。」


夫:「って、言われた~(照)」


私の心の中は大爆笑!


女性にそう言われて嬉しかったのか、「もちょっと、アドラー心理学、勉強しよっ」って言ってました。

素敵なことだと思いますが、私はほどほどに(涼しく)聞いておきますわ。


【樋沢律子 2011年3月23日】

  「目標の一致」- これは、科学的な臨床心理学であるアドラー心理学の技法の一つである。子育てや教育、そして人を援助する仕事をするときに、有効に働く。その根底には「人は誰もが自分の人生を自分で生きなければならない」という考え方がある。一見、そんなことは当たり前だと誰もが思うかもしれない。

 しかし、私たちは、実際の生活の中では、自分の価値基準で物事を見て、人とかかわっている。人を援助するとき、その人がどう生きていきたいのかがまずありきであり、そこに援助する側の価値判断は存在しない。援助する側は、援助される側の方向性に対し、必要なことを協力していく立場に立つことになる。

 このたび私は、県の沖縄新規学卒者緊急就職支援事業として、1~3月の間、八重山農林高校に就職コーディネーターとして配属された。八重山では、委託先である民間企業から依頼された3人が、各高校でその業務に当たっている。この時期に、まだ進路が決まっていないということは、何らかの問題を抱えているはずだからと、個人の状況に応じた個別の密着支援を!ということであった。

 私たち3人に就職支援の経験はない。しかし、私たちは、一人ひとりの思いや考えを聴くことで、これから社会に旅立とうとする生徒が、自らの一歩を考えやすく、動き出しやすくすることは可能であると思った。そして、支援というからには、その一人ひとりの生徒の方向性にそって、協力することであると思っている。

 人は話すことで自分の思いが明確になり、整理ができる。生徒の思いや考えを聴いて、方向性が定まるのを援助する。そして、その方向性に向かいやすくするために、必要なことを可能な限り、協力していく。支援される側と支援する側が、共同の課題に向き合うことになる。これが、「目標の一致」である。

 生徒と面談するとき、大切にしたいのは、価値判断をしないこと、ノージャッジで臨むことだった。その子なりの18年生きてきたヒストリーがあり、その経験の中から自身の考えや思いがある。そこを大切にしたい。そして、自身の先を見据えた、スキルアップのための一歩である視点に立ってもらいたい。

 安易にバイトでもいいと考えている生徒には、社会の仕組みや制度の話をする。目先のとりあえずの仕事ではなく、長い目で見たときの、自分にとっての有益な情報としてとらえてもらいたい。それでも決断するのは、自身の人生を歩いていく生徒自身である。その生徒の決断を応援する姿勢に変わりはない。

 また、その業務の一つに企業開拓もあった。生徒の希望する職種の開拓にも当たる。この度、新規学卒者就活を促進する体制として、県外から参加する企業と離島の生徒への旅費全額補助の合同面接会、専門家による集合研修会、採用拡大奨励金制度等も用意されていた。

 そうして一人、また一人と進路が決まっていく。それは先生方、ジョブサポーターさんの築き上げてきた土台と協力、ハローワークの担当の方との連携、すべての調和があってこそである。一人の生徒の就職が決まった! と喜びを分かち合う瞬間がうれしい。皆が同じ目標でいたことを再確認できる瞬間でもある。そして、現在進行形で3月末日まで就職支援は続いていく。一人でも多く、意義のある就職に結びつくように。
(八重山毎日新聞 日曜随筆より転載)

【市原 由加里 2011年3月13日】