失敗の箱は大きめに

新一年生になる長女。

夢はケーキ屋さんになるそうで、
昨日、今日とシフォンケーキ作りに励んでいる。

「綾ちゃん、ケーキ作るから!」
そう宣言して一人でボールやら卵を準備。

メレンゲを泡立てていると「あっ」という声。
見るとメレンゲのボールがひっくり返っていた。

綾子「ごめん、どうしよう」
私 「どうしようかね・・・」
綾子「お母さんこんなんなったことある?」
私 「たぶん、あるね」

娘の足もとに流れていくメレンゲを見ながら、

リーダー講座で何回も繰り返した
12-Lが頭の中を駆け巡る。

1.失敗は不適切な行動ではありません
2.子どもは失敗を通じて成長する
3.子どものよい意図や努力を見つけ出そう

ほんとだ、失敗の箱に入れたらマイナス感情は見事なほどOFFのままだった。
いつもなら、大きなため息をするところだけど、体はやわらかいままだ。
パセージはすごいなぁ。

とりあえずメレンゲにまみれた娘にシャワーをすすめる。

これからどうするかゆっくり子どもの話を聴いてみよう。

娘がシャワーを浴びながら何か言っている。

「失敗しちゃった。まぁこんなこともあるよね」

そうね。こんなこともありますわね。
がっかりしてなさそうだし、動揺もしてなさそう。
いい性格だな。

シャワーから出てきた娘は裸ん坊のまま
兄のするDSをしばし覗き込んでいる。

床や壁にこぼれたメレンゲはそのまま。

うっかりすると『不適切~~』と思いそうなので、
マイナスの感情がなくなる工夫をする。
その場を離れて、本の整理。

5分経ってもそのままなので、声をかけてみる。

私「なぁなぁ綾ちゃん、ケーキ作るん、このあとどうする?」
娘「ケーキ作る」
私「あのこぼれたん、どうしよう?」
娘「お母さん片付けとって」
私「えぇ...。一緒にしよう?」
娘「綾ちゃんできん」
私「一緒にしたらできるよ」
娘「先にしよって」
ゲームを覗きこむ娘。

少々複雑な気持ちのまま片付けに向かう。

でもさと子さんが言よったよな。
「よい意図があるはずです」

片付けを手伝ってくれる次女と二人で床を拭いていると、
娘「綾ちゃん、壁拭くわ」
私「ありがと、きれいになったな」

娘「お母さん、次またこぼれたらいかんきん、ボール持っといて」
私「そうするわな」

今後同じ失敗を繰り返さない為に自分で考えてくれたんやな。
二人で不足した卵白を足して、ケーキの生地を完成させる。

オーブンに入ってホッと一息。娘に聞いてみる。
私「なぁなぁ、さっき綾ちゃんが失敗した時のお母さんの対応はどうやった?」
娘「まぁまぁ」

さいでっか。


【真鍋 陽子 2011年3月31日】