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第15回東日本地方会

7月1日、第15回東日本地方会が新潟で開催されました。

全体を通してのテーマ"「所属する」って何だろう"を、三部構成にして考えました。

第1部、午前中のシンポジウムでは、3人のシンポジストさんが、「家族の中の所属のしかた」をテーマにアドラー心理学の実践報告をされました。

3人ともそれぞれ違ったライフスタイルステージにあり、家族構成も違います。義母との関係、両親との関係、そして職場での生徒達とのつきあい方の変化や、結婚や初めてのお子さんができる事を通しての妻さんとの関係の変化など、実に様々な立場からの発表でした。原稿のおもしろさ、話術、スライドの工夫などで、どの発表も聞き入りました。

私たちが「所属する」一番身近で小さな共同体が、家族です。発表を聞いて、家族という共同体には自分も含めたメンバー全員が、それぞれ本当にユニークな所属の仕方をしているのだと感じました。どの所属の仕方も善いとか悪いのではなく、それぞれがその人の力を尽くした方法で所属しているのだと思いました。そして、みんながどんな所属の仕方をしていると家族全体が幸せに暮らせるか、それを考え実現するヒントになるのがアドラー心理学なのだと思いました。

第二部は、アドラー心理学「ミニ講座」とワークでした。
「ミニ講座」は、2008年に仙台での日本アドラー心理学会総会で発表された「教育講演」を聴き、「私たちにもアドラー心理学を伝える方法を考えることができるかもしれない!」と、勇気づけられた新潟のお世話役さんたちが考え出したものだそうです。主に『パセージ』を終了した人達にさらにアドラー心理学に興味を持ってもらえるようにと工夫されたとのことでした。

今回はシリーズのなかから『エピソードに戻れ』が実演されました。内容は、講演をされた服部千春さんが実際のエピソードを例に、かみ砕くようにエピソードを聞くことの大切さをお話されました。

講演の後、グループに別れて実際にエピソードを聞いてロールプレイにするワークをしました。私の参加したグループでは、エピソードをロールプレイにする段階になって初めて、エピソードを聞いただけの時にはグループのメンバー誰もが思ってもいなかった事実が発覚し、先程聞いた講演の中にあったように、本当に人は自分の思いこみの世界に生きているのだ、とみんなであらためて実感しました。

「ミニ講演」とワークを組み合わせてやることで、聞いた知識を頭にためておくだけでなく、その知識をすぐにその場で体験することができました。この「講演とワーク」は『パセージ』を受けた人がさらにアドラー心理学を学ぶきっかけにもなるし、『パセージ』をさらに実践しやすくするためにもとても効果的な方法だと思いました。

他の「ミニ講座」もぜひ聴きたいと思うとともに、「教育講演」のように、シナリオを誰でも使えるようになるといいなと思いました。

第三部は全体シェアリングでした。所属することや共同体を維持することについて、河内理事の問いかけからみんなで考えました。最後に、「今後東日本地方会をどのようにやっていくか、東日本地方会という共同体を維持するために私にはどんなことができるか考えること」を宿題として、そして、来年と2年後の東日本地方会のアナウンスをして閉会となりました。

「所属する」にはまず共同体がなければなりません。アドラーは共同体感覚について、

Social feelingは、生涯を通じて、変化させられ、色づけられ、限定されるケースもあれば、それぞれがその個人自身の家族のメンバーだけでなく、その人の親族、国、そして最後には人類全体と触れ合うところまで、広げられるケースもある。※(H.L.Ansbacher /アドラーギルド翻訳工房訳:Social Interestという概念,アドレリアン 5(2),1992,p132)

と述べています。

「所属」について考えることは、共同体を維持するために自分には何ができるかを考えることにつながるのかな、と思いました。
全体シェアリングで出た宿題は、東日本地方会だけでなく、日本アドラー心理学会全体にとっても重要な課題だと思います。大切な宿題をいただきました。普段の生活の中で折に触れ考えていこうと思います。

参加されたみなさま、準備に携われれたみなさま、理事さんに、心から感謝いたします。

※(H.L.Ansbacher /アドラーギルド翻訳工房訳:Social Interestという概念,アドレリアン 5(2),1992,p132)

【大竹優子 2012年7月5日】


 

5月20日日曜日、岡山市の国際交流センターで、第9回中国地方会が開催されました。
他地区からの参加も含めて53人が集いました。


テーマは昨年に引き続いて『アドラー心理学の基本前提の理解と伝達』です。今年は中国地方区内の5つの自助グループが、小学校高学年以上の子どもたちに基本前提をわかりやすく伝えることを目標にして方法を研究し、発表しました。


午前中は4つのグループが発表し、それぞれの発表に対して中島弘徳指導者がコメントをされました。


岡山市の「ほどほどの会」からは山本卓也さんが、アドラー心理学の5つの基本前提を説明する、スライドを使っての講演を発表しました。アドラー心理学の基本前提が日常的な事例とともにコンパクトに説明されていました。


倉吉市のグループは、「高校3年生のロングホームルームで『人生は運命に定められているか、それとも自分で決められるか』をテーマにしたグループ討論をする」という設定のもと、討論を実演発表しました。このように、討論のテーマの選び方によって、アドラー心理学を知らなかった人が、アドラー心理学の提案する生き方について考えるきっかけができることになるかもしれないと思いました。


浅口市のグループ「あるふぁの会」の発表は、人形劇を使って小学校高学年の子どもたちに「目的論」を伝える試みでした。目標は「目的論」を伝えることですが、この発表を見て感じたのは、困ったときにどうしたら解決にむかうかの知恵を、具体的な形でもらえた、ということでした。


個人的な感想ではありますが、アドラー心理学と初めて出会うときには、むしろこんなふうに実際に役に立つ知恵の形にしたお話が聞けたら、「もっと知りたい!」と思ってもらいやすいのではないかしらと思いました。


島根県のグループからは、少人数のお芝居で「仮想論と目的論」を伝える試みの発表でした。お芝居の中で、学校の先生とアドラー先生が会話をする場面があって、そこでのアドラー先生のセリフはアドラー自身の言葉でできていました。するとアドラー先生のセリフ部分だけ会話言葉とは違う口調になります。そのせいか、返ってアドラーの言葉が強く印象に残りました。中島指導者から「アドラーの言葉を身につけて実践することは、アドラー心理学を伝えるのによい方法だと思います」とのコメントがありました。人としてのアドラーはすでに亡くなっていますが、その言葉はこうして生きて伝わっていくのですね。


午前中の最後に、「ガハク」こと松村宏さんのオリジナル紙芝居の上演がありました。この地方会のための書き下ろし(?)作品は、感情についての話で始まり、最後には「『競争』と『協力』の二つの生き方があるけど、あなたはどっちを選びますか?」というお話に到達します。基本前提の言葉を使わずにアドラー心理学の理論と思想を紹介していて、日常生活に役立つ考え方をすんなりと伝えてくれるところがすばらしいと思いました。


「アドラー心理学を伝えるツールは私たちがすでに知っている方法の中にたくさんあるんだと思いました。人形劇や紙芝居のような方法を使うことで、より広めやすくなるのではないかと思います」と、中島指導者がコメントしておられました。


午後は、「おとぎ話を基本前提で読み解く」というワークをしました。広島のグループが研究された方法です。広島のグループによるデモの後で、日本の昔話を少しづつ読み、書いてあることを、アドラー心理学の基本前提を通すとどう解釈できるかをグループで考えました。各グループをベテランのアドレリアンがリードし、中島さんと山本さんがフロアーをまわって、ときどき考えの活性になる仕掛け花火のようなアイデアを置いていってくださいました。


中国地方区の竹崎理事は、「基本前提を理解することで、自助グループでだけでなく一人でいるときも、自分のアドラー心理学の実践をチェックできるようになる」と、地方会で基本前提を学ぶことの意味について語っておられました。


アドラー心理学を学んでいると、いつか必ず5つの基本前提と出会います。これらは、例えばパセージテキストに書いてあることの理論的な裏付けとなったりしているので、アドラー心理学をしっかり勉強するなら知っているべきだと思いますし、知っていると、困ったときに自分の行動などを理解する上で役に立つことも多いでしょう。


例えばある言語を習うときに、単語を知ってそれを例文で使いこなす練習は、練習としては意味があると思います。が、単なる知的趣味か研究のためでなければ、実際に使って、役にたってこそその言語を学ぶ意味が本当にできるのだと思います。同じように、例えば自助グループなどで事例が出たときに、基本前提に照らして考えることで問題が解決に近づくとすれば、そのときにこそこの地方会で学んだことが意味を持ってくるのだろうな、と思いました。


また、アドラー心理学の理論のもう一つの切り口、つまり、人がライフタスクを解決しようとして行動を起こす、というダイナミックな面と基本前提とを一緒に考えることで、アドラー心理学が役に立つ場面を一層広げることができるかもしれないと思いました。さらに、理論面だけでなく思想面については今後どのように取り組んでいかれるのかも、楽しみに思いました。


たくさんのひとにアドラー心理学を知ってもらい、一緒に学ぶ仲間が増えるのはとても嬉しいことです。今回の中国地方会は、そのための様々なアイデアを実現しました。いろいろな職種や立場の人々がそれぞれの個性を活かしながら成り立っているのが日本アドラー心理学会の特徴ですが、そのリソースが十二分に発揮された会だと思いました。


【大竹優子 2012年5月25日】

 1月22日、第1回と同じ場所の旧古河鉱業若松ビルで行われた、第2回日本アドラー心理学会九州沖縄地方会「私から私達へ~心ある世界に組み込まれて生きる~」に参加しました。

 受付係という事で、まだ暗い中自宅を出発、佐賀から北九州へは、ちょっとした旅行気分、道中、戸畑~若松の渡し船に乗れるとあってちょっとうきうきと、でも寒いので頑張って行きました。

 今年の地方会は、本当に参加して良かった!! と今も思っています。去年よりは確かに参加人数は減りました。しかしその分、ゆったりとした雰囲気に会場内が包まれたように感じました。また、シンポジスト・司会者と一般参加者とに、一体感が生まれた気がします。それは、ワークや小グループに分かれてのシェアリングをしたからだけでなく、大きなテーマともいえる「アドラー心理学を生きる」事について、一人ひとりが自分を振り返り、この場でしっかり考えていた人が多かったのではないか、と思っています。

 午前中のワークでは、Ymさんのお話を聞きながら、大きな輪になってわらべ歌とジャンケン遊びを楽しみました。また、2人組で指遊びをしあったりもしました。本当に久しくこんな遊びはしなかったので、とても心が弾みました。

 Ymさんのお話は、ご自身とアドラー心理学との出会いから始まり、日本の子育てのスタイルや伝統文化であるわらべ歌について、詳しい説明がありました。また手作りのお人形を赤ちゃんに見立て、実際のあやし方や、「そうめんや」といった手遊びについても教えて下さいました。加えて、「鬼の面で始めても福の面で終わる」「離乳食を一口ずつ口に運ぶように、丁寧に心を込めて赤ちゃんに言葉を入れていく」「3歳までは、大きくなって火がついて明るく回りを照らすように、たいまつ(赤ちゃん~幼児)に松脂を滲みこませる」といった深く納得するような事も、いくつも話して下さいました。

 Ymさんのお話とワークで、仕事柄、「共同注意(母親と子どもが、同時に同じ出来事や対象物に視線を向ける事)の成立が・・・」といった小児医学の教科書的な話に終始しがちな私は、忘れかけていた大切なものを思い出させて貰えた気がします。

 私事ですが、高齢初産となる妊娠中の友達が、今一人います。妊娠のニュースを聞いて、赤ちゃんがこの世に生まれる事に対し、そのおめでたさ・嬉しさよりも、出産・子育てのリスクや大変さが、先に私の頭をよぎっていました。でも、Ymさんのお話で、何よりこの世界に生まれてきてくれるのはおめでたいのだという事、そして不安の感情を使うのではなく、その友達に私ができる事は何かを考え行動する、という原点に立ち返らせて貰え、Ymさんには感謝しています。

 午後からのシンポジウムは、Ygさんのウイットに富んだ司会で進行しました。「アドラー心理学を生きるってどんなこと?」というテーマで、3人のパセージリーダーさんたちがご自身を振り返られ、お話をされました。

 3人とも、聴衆のコメントで「自己開示」という表現もありましたが、こちらに伝えたい事がはっきりしていて、それを表現する為にかなり言葉を選び直して、わかりやすく伝えようと検討を重ねてこられたのが十分窺えました。そして表情に、やり遂げた満足感があふれているようでした。ですからお話は大変わかりやすく、こちらの頭に入りました。「新しい課題が次から次からやってくるのが楽しい」「(日常生活の中で、いつも考える課題として)ぶらさげるものがあるのは、楽しい」といった、課題に対しなかなか飄々とできない私にとって、なるほどなあ・・・と納得するような言葉も沢山出てきました。

 地方会を振り返って今、いつも言い訳が先に立つ私ですが、自分の課題を引き受け、自分の選択に責任を持って、周りの幸せの為に貢献できるよう生きていきたい、とあらためて思います。

 今回は、九州の自助グループのお知らせが掲示されていたり(インパクトのある手書きのポスターもありました)、甲斐理事をはじめ、タスクフォースの皆さんの思い入れが伝わってくる工夫もされていました。本当に、様々開催までに時間と労力を費やされた事と思います。どうも大変お疲れ様でした。そして、大変お世話になりました。どうも有難うございました。

【山内 克美 2012年2月18日】

地方会について

北陸東海地方会にいってきました。


午前は、講演会。午後はワークという構成です。


基礎講座応用編を受けた後だったので聞いたことのある単語が系統だって出てきてすごくためになりました。とっちらかっていた物が整理された感じ。
しかもわかりやすかった!
録画したのでまた見直そ(^-^)
ワークへのプロローグって意味合いもあったのかな?
ワークの意味もあらためてわかった。
岡田敬子先生ありがとうございます( ´ ▽ ` )


ところで、午後のこのワークのために北陸東海地区の自助グループはワーク練習を何ヶ月も前から実践しこの日を迎えました。


7名くらいのグループを6つ作ってワークが始まります。
自助グループでも何度もやりましたが、違った部分がたくさんありました。


事例提供者を決めるとき、
普段は、「どなたかお話ありますか?」と事例提供者を決めるのですが、今日は15分で最近あったイラモヤの話をみんなから募りどの話を取り上げるかきめるところが 違ってわたしには良かったです。


レポート(周辺状況)をきくとき
これが苦手なわたし。
一緒にワークに参加してくださった皆さんが

「Aくんはどんなお子さんですか?」
「Sさんはどうして先生を目指したの?」

という事例とはおよそ関係がないような質問があとあとのパーソナルストレンクス探しに効いてくるのに感動!!


エピソードを聴くとき
参加者さんがした絶妙な質問「エピソードを聴くときにコツはありますか?」
に対して、おかけいさんは
「感情、思考、行為にわけることが大事です。 こう思った、ああ思ったんですー(怒)って話す人は思考について話しているのでそんなときは、行為について聴きます。◯◯って思ったんですねー。そのとき相手の方はどんなことをされたんですか?そうしてあなたはどう答えたんですか? と聞いていくと行為が聞けます。感情をきくときは、そのときどう感じましたかー?とききます」
と答えてくださりました。
そのとおりに実践ができた結果、詳しく状況が見えた感じがしました。


そうして最後のパーソナルストレンクスはかなり(いつも以上に!)見つかりました。


かなり良かったーo(^▽^)o
事例提供者さんも晴れ晴れしてたし、自分もなんだか嬉しかった。


【奥田 美幸 2011年11月27日】