お父さんは淋しい

ひっさしぶりのエピソード投稿です(^_^;)

若かった(バカかった?)僕も42歳になり、
2児のパパになりました。

10月末まで休職期間をいただいているので、
4歳の息子、2歳の娘の成長を毎日観ることができ、
幸せな毎日を送っています。

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つい先日のこと。
妻が息子の奏葉(かなは)に向かって、
珍しく強い口調で注意している声が聞こえました。
(妻はアドラー心理学を学んでいませんが、
 子どもへの接し方を見ていると 「アドレリアンだ~!」と思うことがよくあります)

妻:奏葉!ちょっと、またなめてる!やめなさい!
僕:ん?どしたの?
妻:ああ、あのね、そこに古い壁があるでしょ?
  なんでか分からないけど、
  その壁をペロペロなめてたのよ。
  前にも同じことがあって、
  汚いからやめなさいって言ったんだけどね...。
僕:そっかあ。注目してほしいのかなあ。
妻:う~ん、そうなんだろうね~。

このとき僕は、
「奏葉は、お母さんの注目・感心をひきたいんだろうなあ」
と思っていました。
妻が最近、
「ばたばたしてて、奏葉の話をゆっくり聞いてあげてないなあ」
って言っていたからです。

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それから間もなくして、
奏葉がこんなことを言っていたと、妻から聞きました。

「奏葉ね、お母さんは大好きだけど、お父さんは淋しい。」

どういう意味だか分からなかったけれど、
なんだか胸にちくりと刺さりました。

僕:どういうことだろう?
妻:最近、あなたが出かけていることが多いでしょう?
  奏葉ね、「お父さんは今日もお出かけなの?」
  「お父さん、まだ帰ってこないのかな?」って、
  何度も言ってるのよ。だから、
  「お父さんと遊べなくて淋しい」って
  言いたいんじゃないかな。

このとき、ハッとしました。
「もしかして、注目してほしいのは妻じゃなくて、
 僕の方だったのかも?!」

そこで、奏葉に聞いてみました。
奏葉は「開いた質問」で聞くと、
僕に気を遣ってか、
思っていることと違うことを言うことがあるので、
「閉じた質問」で推量してみました。

僕:ねえ奏葉、もしかして、淋しくなっちゃったから
  壁をペロペロしたの?
奏:(即答)うん。
僕:そっかあ。もしかして、お父さんがお出かけしてると淋しいの?
奏:うん。奏葉ね、お父さんがお出かけしてて淋しいから、
  壁をペロペロしちゃったの。
僕:...そうだったのか...!
  奏葉、ゴメンね。全然気がつかなかった。

僕は本当に切なくなって、
奏葉をぎゅっと抱きしめました。

僕:奏葉、もし、淋しくなっちゃったときは、
  お父さんに「淋しい」って言ってくれる?
奏:うん。

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それからというもの、
奏葉が僕にすうっと近づいてきて、
「お父さん、淋しくなっちゃった」と
言ってくれるようになりました。

壁をなめることも、なくなりました。

そして、昨日。

奏葉が、何も言わずにゆっくり近づいてきて、
僕の胸にぎゅっと抱きついてきました。
これまでは、
「奏葉、おいで。抱っこしよう。」と言って
両手を広げても、照れ笑いをして、
逃げていた奏葉。

奏葉の方から抱きついてくるなんて、
生まれて初めてのことでした。
僕は、嬉しくて、奏葉を抱きしめました。
そして、
「ああ、こんなに小さな子に、
 ずっと気を遣わせていたんだなあ...」
と、胸が痛くなりました。

僕:奏葉。淋しい思いをさせて、ごめんね。
奏:うん。

その後2人で、
何も言わずにしばらく抱き合っていました。
とっても幸せな時間でした。


【河原木 孝浩 2014年8月6日】