2016年3月アーカイブ

体験談 ~家族会議

息子が中2の時に初めてアドラー心理学とパセージに出会い、初受講から3年目になります。
・・・という言い訳を振りかざし、家族会議とは一生無縁で私の今世は終わるのだと疑いもなく過ごしてきました。
だって、アドラーで子育てしてないし旦那だって非協力的に映るし、家族会議って、アドラー上級者様向けでしょ?って思ってました。
そんな私が、ひょんなことから家族会議をすることになった話しです。


中学時代の色々を乗り越え、周りのたくさんの方達の力を一杯お借りして、何とか合格した本命の県立高校。
その入ったばかりの高校を辞めたいと言い出しました。
5月、6月と2度。
この時は、リーダーのKさんに沢山助言をいただき、私の気持と思考も整理ができ何とか乗り越えました。
事が過ぎてから気づいたのですが、この時の学校辞めたい、は注目関心だったと思います。


長い夏休みも終わり、2学期が始まりました。
思ったよりスムーズに毎日登校していて、ホッとした最初の金曜日。
仕事から帰ると、家の鍵を忘れて玄関前に座って私の帰りを待っていた息子が、
私の顔を見るなりキッパリ言いました。

「オレ、やっぱ高校やめる」

今でもはっきり覚えています。
真面目な顔をして、落ち着いた冷静な声ー。
あぁ、今回は本当の本当に本気なんだ!

週明けの月曜日から、本当に登校しなくなりました。
学校には、休む時や遅刻する時は保護者から連絡をする事を義務付けられているので、欠席理由をどうしようか考えつつも、後々なんとかなるように病欠にしました。
この時は、少し時間が経つと行くかもしれないと思っていたのです。

そんな事が毎日続き、ある日思い切って担任の先生に、息子の気持ちが学校に向けないようだ、と伝えました。
少し様子を見ましょう、と言っていただき、今すぐ白黒つけなくて良いんだ、と大変心が軽くなりました。

そんな中、9月下旬、息子が突然明日学校に行くと言ってきました。
あー、もしかして学校辞めますって言いに行くのかな...と思ったのですが、何も言わずになんてこともない風を装い、「あら、そうなの」とだけ言いました。

次の日、本当に登校し、夕方私の携帯に学校から連絡が入りました。

「お母さん、息子さんから聞いてるかもしれないですが、本人さんが今日学校を辞めると言ってきました」

この後、1時間くらい今までの学校での様子を先生から聞き、家庭での様子を私が伝え、情報を共有しました。

「お母さん、電話では何なので一度お互い顔を見てお話ししませんか?」

10月に入ってから私が学校に行き、学年主任、担任の3人で話しをしました。

私からのお願いはただ一つ。
「息子本人は望まないでしょうが、親としては休学を望んでいます」

実は、今現在校則違反のバイトをしている、これからバイトは辞めて、知り合いの工場で働かせてもらえることになっている、という事を息子が直接担任の先生に言ったとの事でした。

「校則違反をしている事実を知った以上、休学は難しいかも。前例がないので、上と話し合わないといけない」

想定の範囲内の答えでしたが、話し合うと言っていただけただけで有難かったです。

また、後日連絡します、と言ってもらって早や4か月。

この期間、息子が学校に戻りたいと言ったことは一度もありません。
今まで、甘えてズルズル引きずってきたけれど、本当にこれでいいのだろうか...?
という悶々とした気持ちが湧き上がります。
でも、そんな気持ちも私が学校の事を思い出さない限り沸き起こりません。

そんな中迎えた自助会の日。1月下旬でした。
リーダーのKさんが持参してくれたカードで、好きな事を何でも質問できるカードを引きました。
なんか、レアっぽいカードのようです。

「えー、どうしよう、何も思い浮かばないよー!せっかく引いたのに勿体無い~!」と1人で騒いでいたら、
隣に座っていたMさんが「息子ちゃんのことは?」と言ってくれました。

いやー、最近息子の事でそんなに悩んでないんだよなーと思ったのですが、そうだ!今の宙ぶらりんの状況をどう思うか聞いてみよう!軽〜い気持ちで質問したんです。

「高校から、後日連絡しますと言ってもらってから一度も連絡がこなくてそのままになってます。時期的にそろそろかな、と思っていますが、このまま連絡を待つのか、それともこちらから動き出した方が良いのか。みなさんどう思いますか?」


「内容的には家族会議だよね」 

この一言から全て始まったのです。

それから、その場にいたメンバーで家族会議へ向けての作戦会議が始まりました。

言葉の一つ一つをロールプレイして、どう感じるか確認。
なんかへり下ってる感じがする、なんかエラソーに聞こえる...
率直な気持ちを出し合って、聞かせてもらって聞いてもらって、私の素直な気持ちをそのまま言葉達にしてもらいました。

「開始の言葉はお父さんに言ってもらうのはどう?」

...ワタクシのオット、よく言えば寡黙なんです。多分、世界の3本指に入るキングです!半端ない寡黙です!キングオブザ寡黙です!
そんな人に言えるかな...?

「じゃあ、言葉を紙に書いて渡してそれをそのまま読んでもらうのは?」

それならできそう!ってか、それくらいしてもらわなきゃ!


作戦会議で決めたことは次のようになりました。

①「今ちょっと良い? もう3月で年度終わりやん。 高校行くにしても大事な事やでお父さんと3人で喋りたいんやけどさー、時間取ってくれる?」
と言って家族会議の承諾をもらう。

②お父さんと日にちを決めておく(何日か候補を出す)

ここまでが事前準備。
次からは、当日本番です。


③お父さんに開始宣言してもらう
「今から家族会議を始めます。議題は高校についてです」

④ここからは私が喋る
「仕事やってみてどう?慣れてきた?
「これからどうしていきたいと思っとる?」

「あなたは、高校やめるって言っとったけど、お父さんとお母さんの気持ちで籍は残してあるやん。今はどう思ってるか教えてくれる?」

辞める、と言ったとして

⑤「辞めるにしても手続きとかあるで自分でやってほしいんやわ。お母さんも一緒に行くで。 なぜなら、もう社会人やし最後まで自分の手でケリをつけた方が、あなたの幸せにつながると思うの。
例えば、バイクの免許を取るのだって、自分で調べて書類揃えて申し込みも自分でして、場所もわからないから駅に電話して自分で行き方教えてもらったよね? それと一緒だと思うんだよね。」


舞台は整いました。
1月31日、夜21時くらいだったかな?
いよいよ初めての家族会議が始まりました。

開始宣言を書いた紙をオットに渡し、とにかくこれをそのまま読んでちょーだい
と頼み、自分が読む事も紙に書いて手元におきました。

オットが議題を言った瞬間、息子が
「辞めるで!」

ちーん...,。

私「うん、わかったけどちょっと待ってね。」

せっかくみんなで一生懸命考えて紡いだ言葉達の出番がなくなるやん!!
内心焦りつつも、お母さんの気持ちを言っても良いですか?と承諾をもらってから、紙に書いてある言葉を読み上げました。

そうしたら、息子が自分で学校に電話して聞く、と言いました。
実は、私はもしかしたら面倒いで聞いといて!と頼まれるかなぁ、と思っていたのです。そこを自分でする、と言うのであっけなく議題終了。

オットは、と言うと開始の宣言をしただけで一言も発していません。
何か言いたい事あるかしらん、と思って最期に私が「お父さんから何かありますか?」とダメ元で聞いてみました。

オット「自分で決めた事なんやから、これから頑張れよ」というような事をサラサラっと言いました。

息子「うん」と言ってた気がします。

...というのも、私ビックリしちゃってちょっと時が止まってしまったんですね。
オットはそんなこと思ってるんやー、とか、そんなこと言えるんやー、とか思ってしまって。
これは、とっても嬉しい誤算でした。

そんなこんなで初めての家族会議は無事終了し、後は手続きだけです。

その手続きも、後日言葉通り自分で連絡してアポを取り、必要なものを持って2月12日金曜日、私と息子で手続きしてきました。

学校に、向かう前にオットに手続きに今から行ってくることをメールしました。
返事を期待してなかったんですが、

「自分で決めたことなのでお願いします」とすぐ返信がきました。

この返事に若干戸惑いつつ(今までスルーが多かったので)かなり励まされ気持ちが少し軽くなりました。

無事手続きも終わり、帰ってきてしばらーく経ってから、オットに終わったことを言ってなかったと思い出し「退学してしまったよ」と私の心境を正直に一言、メールしたんです。

この時も返信は期待してなかったのですがすぐに「自分で決めたことなんで見守ってやろう」と返ってきました。

...うちのオットって、こんな人やった...?
なんか、めっちゃ嬉しくて。
今まで、何で自分の気持ちを言ってくれないの!?という言い争いは何だったんでしょう...?
というくらい別人に感じました。

オットに対しても、ものすごく負の注目をしている自覚はあったのですが、それが少なくなった途端私の理想通りに動き出したオット。
アドラー心理学って、本当に子供だけじゃなく、人間全般に通じるんだ!と体感した瞬間です。
不思議とこうなると、オットへのイラつきも激減!

息子のおかげで、一生縁がないと思っていた家族会議も経験でき、夫婦仲も何とか改善の光りが見えてきました。

それもこれも、自助の皆々様のおかげであります!!
これから、何か起きてもアドラーの教えと仲間がいれば乗り越えられる!
その気持ちを強くしました。


【田中 理絵 2016年3月23日】

私の構えが変わったら

~~~~~~
娘が、同じ幼稚園に通うAちゃんに対して意地悪な発言をしたり手を出すことがよくありました。(娘の通う幼稚園は、ケンカはどんどんやってOK、手を出すのもありという方針ですが、娘がそういうことをするのはAちゃんに対してばかりでした。)

その日は、娘とAちゃんは幼稚園のお友達の家に遊びに行きました。みんなで仲良く遊んでいたのですが、娘がAちゃんとおもちゃの取り合いになりました。娘が言うには、娘が先に取ったおもちゃをAちゃんが取ろうとしたということでした。問題のおもちゃを私が預かり、泣きながら怒る娘をなだめ、何とかまたお友達と遊び始めたのですが、今度は粘土で遊んでいるときに娘が『Aちゃんはやっちゃダメ!』と言い出しました。そしてAちゃんに『ブサイク!』と言われ、持っていた粘土の道具で娘がAちゃんのことをぶってしまいました。
~~~~~~


一昨日、またAちゃんとやり合いました。でもフォロー(『さいたまパセージフォローの会』)でみんなに知恵を出し合ってもらって、私の中では『よし!次はうまいことやるぞ~!』と変なやる気がみなぎっていました。そしてAちゃんとのケンカのあと、ここぞとばかりに閉じた質問や推量を使って色々聞き出そうとしました。でも...娘から返ってくる答えに違和感。。なんだか本心というより、私の求めてる答えをわかって言ってるような、そんな感じがしていました。

そして昨日、幼稚園の先生とお話をする機会があり、娘がAちゃんばかりに手を出すこと・このままで大丈夫なのか・幼稚園での様子などについてきいてみました。

先生からは厳しい言葉が返ってきました(p_-)
友だちにイジワルをしてしまう時、子どもはどんな気持ちかな?満たされた気持ちかな?と聞かれました。私はすごく愛を注いでいると思っているけど、もしかして娘の求めているものとお母さんが与えてるものが微妙にズレてるんじゃないですか?(目標の一致ができてない[笑])と言われました。子どもを信頼してますか?とも。正直心が折れましたが、思い当たる節もありました。

詳しくは省略しますが、昨日はとにかく『この子は大丈夫』と信じることと、娘の求めたことを与えることを意識して過ごしました。と言っても子どもが王様で私が奴隷という感じじゃなくて。今までは私の中で『この子はワガママで自分の思い通りにしようとするところがあるから、そうはいかないということを教えなくては!』という思いがあって、娘が求めてきたことをそのまま受け入れることをあまりしていませんでした。『じゃあ◯◯してからね』とか何かしら私が注文をつけて、何でも思い通りにいくわけじゃないぞ!と無意識のうちに教えようとしてたなーと思ったのです。でも昨日は『心配しなくても大丈夫、ちゃんと育ってく!』と娘を信じられて、娘の気持ちを正面から受け入れられた気がしました。

そしたら、一緒に夕飯の準備をしている時に娘が『Aちゃんにはイジワルしたい気持ちになっちゃう』と自分から話し始めました。『わたしは4月生まれでお姉さんだから、貸してって言われたら嫌でもいいよって言うのに、Aちゃんはヤダって言うんだもん』と言ってきました。そっかー、娘は4月生まれってことを自分なりに意識して色々ガマンしてることがあったんだなーと知ることができました。一昨日聞いた時は、私が焦って聞きすぎて、まるで尋問のようになってしまったのですが、私が構えを変えたら、娘が自分から自分の話したいことを伝えてくれました。一昨日は私の中に、安心する答えを聞きたいという気持ちがどこかにあって、娘がそれを察して模範解答を答えてたような感じでしたが、昨日は娘の本当の気持ちが聞けたようで、とても嬉しかったです。


【戸草内 知代 2016年2月20日】