うちの息子は去年の冬まで、長袖長ズボンの私服を一枚も持っていなかった。
なぜなら幼稚園に入ったあたりから、真冬も幼稚園以外では半袖半ズボン裸足にサンダルで越冬していたからだ。
年がら年中半袖なので、写真を撮っても季節感がまったく無く、一体いつの写真やら。
「寒いのに長袖着ないの?」と聞くと「きない。あつい」というのである。
「...」(これは私の言う通りに長袖を着ると負け!の勝ち負けゲームなんだろうか!?)
雪が降り積もる日もそんな調子なので、インフルエンザも流行る季節だし、こちらとしては気が気ではないのだが、
ふたを開けてみるとインフルエンザにかかったのは、長袖を着込み予防接種をしていた私で、半袖で予防接種もしていない(だって毎年「しとく?」って聞くんだけど「しない」って軽くかわされるんですよぉ)当の本人はケロッとしているのである。
肌寒い季節がめぐってくると
(また、この季節か...)
とざわざわして、毎冬おなじみ"半袖半ズボン裸足にサンダル"エピソードを自助グループの仲間に聴いてもらっていた。そしてたくさん勇気づけてもらった。
ああなると、もう歳時記ですね。
そんな冬を幾度目か...去年あたりから
(本当に暑いのかもしれないな)
と思い、
(カゼひいた時はひいた時で必要な援助するわ)
と決心したのである。
そんな初冬のある日、小学1年生になった息子がいつものように半袖半ズボンで登校し
ようとドアを出た瞬間、
「さむっ!ママ、ジャンバー」
と言ったのである。
(え?今、寒いって言った?ジャンバー??)
ジャンバーなんてとんと出番がない昨今。
慌ててクローゼットの奥から引っぱり出して渡す私。(あ、1枚ありましたね。私
服の長袖)それを着て「いってきまーす」と当たり前のように出て行く息子。
後日、長袖長ズボン買いましたよ。
そして2年生になった今年。近頃は、気温が乱高下する寒露の頃。私が半袖で息子が長袖、という日がある。
(は?...何が彼を変えたんだろうなぁ)
と感心しながらも
(この数年の半袖にまつわる攻防は一体、何だったんだ?)
と釈然としない日々を送っていたのである。
ところが数日前、息子が何の前触れもなくふと、こう言った。
「ママ、さむい時はやっぱり長そでだよね」
(え!!今頃!?)「うん」
その瞬間に
(あぁ...これは、みーくんの場合『年齢が進むと消える不適切な行動』だったのかもしれないなぁ)
とパセージの言葉が思い浮かんだのだった。
振り返ってみると、そんなことがたくさんあることに気がついた。
例えば、1年生の時はあんなにイライラしていた遅刻エピソードも2年生の2学期になった途端、嘘のようになくなった。きっちり7:11に出かけて行く。遅くとも7時40分に家を出れば間に合うので余裕の出発時刻だ。
何かしらの体験から、年月をかけて何かを学んだのかもしれない。
私はこの頃、息子の不適切な行動に遭遇したときでも、できるだけあたたかい目で見て、適切な側面を探そうと訓練している。
「あたたかい目」とはうち息子の場合「長い目で見る」ことなのかもしれない。
冬は長袖を着せる...などという近未来、明日こそは7時40分に家を出る...という近々未来の期待を捨てて。
きっと、この子には今一時、この行動が必要なのだ。
子どもはどんな時も、所属に向かって適切な行動をしているのだ。
(この子はもう自分で、服装で温度調節するチカラがあるんだなぁ...いや、今までだって彼なりの快適温度にしていたのかもしれない)
相談するたび仲間が再三勇気づけてくれていたように、"不適切"でなどなかったのだ。
毎年冬が始まるたびに体のどこかが固くなっていたのだが、そう考えるとフッと軽くなった...「さむい時はやっぱり長そでだよね」って言われた時は、軽くなるというより、腰砕けましたけどね、笑。
みなさん、"半袖半ズボン裸足にサンダル"エピソードに悩む私を、数年に渡り
「長い目で見て」寄り添ってくれて、本当にありがとう。
親子して、時間をかけて体験から学ぶタイプなのかもしれません。
なんや、似た者親子か。。
これから寒くなりますので、みなさんもかぜなどひかれませんよう。
お体に気をつけてください。
【三浦 裕子 2015年10月9日】